出版社内容情報
一ビジネス・グループの所有と経営支配をめぐるポリティクスを悉に分析し,新興国における政治と経済の今日的関係の実情に肉薄する。
内容説明
強権政治の崩壊後、「経済発展における政治依存」という構図はどう変容したのか。インドネシアの一ファミリー・ビジネスの勃興を、ビジネス・グループの「経済権力」、すなわち所有と経営の支配をめぐるポリティクスという視点からつぶさに分析することで、レントシーキングやパトロン‐クライエント等、「ネガティブ」に捉えられながらもローカルに根付いた諸関係の今日的姿とその本質に肉薄する。新興国ビジネス研究に新しい視点と手法を示す、意欲作。
目次
バクリ・ビジネス論の意義
第1部 議論の設定―ビジネス・ファミリーと政治経済(「経済権力」のダイナミクス―理論的枠組みの検討;インドネシアにおけるファミリー・ビジネス)
第2部 バクリ・ファミリーのビジネス(バクリ・グループの政治経済史1―ベンテン政策の成功例;バクリ・グループの政治経済史2―「プリブミのスター」の政治コネクション;ファミリーによる経済権力の維持1―金融取引とビジネス・ネットワーク;プロフェッショナル経営陣による刷新―資金調達の国際化と石灰事業の重点化;ファミリーによる経済権力の維持2―2008年債務危機での「財務のための財務」とガバナンス)
第3部 バクリ・ファミリーの政治(ビジネス界での政治的影響力の拡大―KADINネットワークとビジネス支援;政界での政治的影響力の拡大と行使―「政党の企業化」と政策・市場への影響力行使)
終章 新興国におけるビジネス・ファミリーの高リスクな合理化
著者等紹介
小西鉄[コニシテツ]
福岡女子大学国際文理学部准教授。1980年生まれ。2015年、京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科5年一貫制博士課程指導認定退学。京都大学東南アジア地域研究研究所連携研究員、大阪経済法科大学助教、同准教授を経て、2020年より現職。博士(地域研究)。専門・関心は、インドネシア経済、東南アジア地域研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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