出版社内容情報
帝政初期に活躍したローマ詩人が、「変身」を主題に、叙事詩形式で歌った大作。多彩な変身譚が各話完結的な形で語られる。(全2冊)
内容説明
紀元前後の帝政初期に活躍したローマ詩人が、「変身」を主題とする神話伝承の系譜に連なりつつ、一見それと不釣り合いな「叙事詩」の形式を採用して歌った大作。天地創造から詩人の同時代までが、個々の変身譚は各話完結的に語られる。はたして詩人は「変身の物語」のみならず、「物語の変容」をも意図していたのか?全15巻のうち本分冊には第1~8巻と、全体の解説を収録。(全2冊)
著者等紹介
高橋宏幸[タカハシヒロユキ]
京都大学大学院文学研究科教授。1956年千葉県生まれ。1984年京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。2010年文学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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roughfractus02
8
神が人間にや動物になって人間を試したりかどわかすと、人間は動物や植物や虫や石になる。神すら不動でなく感情に左右され、その気まぐれに人間は翻弄される。そして今目の前に咲く花も、もともとは自己愛が強すぎた男だったのだ、と由来を語る本書は、今見える個物も全て流動していることを読者に示唆する。何かから何かへのメタモルフォーゼの中には万物流転する宇宙がある。人間から見れば世界は迷宮のように不透明だが、そこから離陸しようとするとイカロスのように墜落する。テセウスは混沌の中からアテナイに秩序をもたらす。が、時は過ぎる。2022/06/14
有沢翔治@文芸同人誌配布中
5
天地開闢からトロイア戦争を経て、皇帝の治世までの変身譚を語る。一つの長い詩よりはいくつもの短い詩を寄せ集めた印象を受けた。https://shoji-arisawa.blog.jp/archives/51524039.html2022/04/09
Vincent
5
変身をモチーフにギリシア&ローマ神話を集大成した不朽の名作の新訳第1巻。時系列ではなくアトランダムに描かれるそれぞれのエピソードは自由でロマンチックでときに残酷。全篇が壮大雄大で魅力満載でした。動物や岩石に変身させられるのは制裁や罰のためと思いきや案外思いつきやいたずらなんかも多いです。第2巻に続く。2020/09/23