出版社内容情報
ロンギノス「崇高について」、ディオニュシオス「トゥキュディデス論」他を収録。実践的な弁論術書にして、古代の貴著な文芸批評。
内容説明
古来ロンギノスの名の下に伝わり、バークやカントをはじめ近代以降の美学・芸術学にも大きな影響を与えた『崇高について』に、ハリカルナッソスのディオニュシオスによる『模倣論』『トゥキュディデス論』『デイナルコス論』と関連書簡3通を併録。いずれも実践的な弁論術・修辞学書であると同時に、規範とすべき著作家を数多く取りあげ解説することで、古代の貴重な文芸批評にもなっている。
目次
ロンギノス 崇高について
ディオニュシオス 修辞学論集(模倣論;トゥキュディデス論;デイナルコス論;アンマイオスへの第一書簡;ポンペイオス・ゲミノスへの書簡;アンマイオスへの第二書簡)
著者等紹介
戸高和弘[トダカカズヒロ]
大阪大学非常勤講師。1960年福岡県生まれ。1991年大阪大学大学院人文科学研究科博士課程修了を経て現在に至る
木曽明子[キソアキコ]
大阪大学名誉教授。1936年満州生まれ。1967年京都大学大学院文学研究科博士課程修了。大阪大学、北見工業大学教授を経て2002年退職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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roughfractus02
8
ロンギノス『崇高について』は、Hypsus(高さ/崇高さ)なる語を文芸や修辞概念として用いたディオニュシオス作という説もあり、本書には両者の文芸に関する論が収録される。文芸とは弁論術を意味し、聴衆の説得術、修辞学、文における文体論を指す。理性による説得の限界を示し、その限界に衝動や情動を誘発する言葉の力を見出すという崇高概念は、後世の弁論術では感情の渦を巻き起こすものから心地よいものまで様々な解釈が施された。ディオニュシオスは歴史書を、弁論家の文体や模倣の度合い等、語順やパターンの操作として捉えている。2022/07/28