出版社内容情報
涼木玄樹[スズキゲンキ]
著・文・その他
内容説明
「私の絵本に、絵を描いてくれない?」―人付き合いも苦手、サッカー部では万年補欠。そんな立樹の冴えない日々は、転校生・華乃からの提案で一変する。華乃が文章を書いて、立樹が絵を描く。突然始まった共同作業。次第に立樹は、忘れていたなにかを取り戻すような不思議な感覚を覚え始める。そこには、ふたりをつなぐ、驚きの秘密が隠されていて…。大切な人のために、懸命に生きる立樹と華乃。そしてラスト、ふたりに訪れる奇跡は、一生忘れられない!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ami*15
41
タイトルの響きが好きだったので読んでみました。この物語は立樹と華乃の物語であり、読み手が「努力すること」「生きること」の理由を知るための物語でもあると感じた。立樹が一生懸命部活に励んだり、部活を頑張る立樹の姿が華乃の生きる糧となっていたりと築き上げた物語がそれぞれの心に勇気を与えていく姿がとても眩しくて印象的でした。私が中高生の頃にもしこの本があって読んでいたとしたらどんな感想を持ったのだろう?と読後思わず考えてしまった。優しい言葉、世界観で溢れていて読み手も自然と温かな気持ちになれた素敵な物語でした。2019/08/06
吊り太郎
20
誰かのための物語。 忙しい日々の中で、ハッピーエンドの作品が読みたくて購入! 高校のサッカー部に所属する立樹、補欠でありレギュラーを目指して頑張る日々、そこに転校生として華乃が現れる。華乃の提案で二人の距離は、立樹が絵を書き華乃がストーリーを考える事で徐々に近づき始める!しかし、立樹と華乃には秘密がある!二人の運命を握るのは記憶と華乃が描くストーリー。この二人に奇跡は起こるのか?ラストは感動でした!2~3時間ぐらいで集中して読み更けましたね!2019/04/04
しお
18
文章が拙く、少し読みにくかった。デビュー作だからかな?でも、雰囲気は好き。作者さんの思いがすごく伝わってくる本だった。2019/10/28
NOIR
18
絵本が好きで物語を書く転校生・華乃の提案で始まった共同作業。彼女の文章に絵を描く立樹は、自身の悩みと物語を重ねて行く。絵本を廻る物語でありながら、絵本のように幻想的でとても優しい物語でした。終盤の描写に少し引っ掛かりは有ったけれど、"誰かのための物語"が機能し始める第4章からが面白い。そして、ラスト二行での物語の閉め方が秀逸。たった数文字で何が起きたのかが分かって、それまでとこれからの想像が掻き立てられた。ごきげんようって良い言葉だなぁ。2019/04/05
yamakujira
5
交通事故で両親を失った立樹は、事故の後遺症で小学校の頃の記憶も失っている。高校3年生になって転入してきた華乃に頼まれて、彼女が作った物語に挿絵を描きながら、物語に自分を重ねて、自分がなにをすればいいのか、なにをするべきなのか、気づかされる。そして、立樹の記憶が戻った時、奇跡が幸せを運んでくる。内気な男女が共鳴して励まし合うかわいい恋物語は、ラストがありきたりな死別じゃなくてよかったけれど、しつこい教訓の押し売りにうんざり、道徳の副教材みたいだ。でも、素直な中高生が読めば心に響くのかな。 (★★☆☆☆)2019/05/21