内容説明
七十三年前に起きた、日本犯罪史上稀に見る“惨劇”―「津山三十人殺し」。事件のキーマン・寺井ゆり子は、生きていた―。彼女の口から語られた事件の知られざる真実。そして、アメリカの地に眠っていた禁断の文書「津山事件報告書」を紐解き、明らかになった、犯人・都井睦雄と祖母いねの驚愕の真実。前代未聞の大量殺人事件の真相が、今明らかになる。
目次
序章 惨劇の断片
第1章 「津山三十人殺し」との邂逅
第2章 遺書をめぐる謎
第3章 祖母いねと睦雄―禁断の関係
第4章 睦雄と性
第5章 三十人殺し
終章 後日談
著者等紹介
石川清[イシカワキヨシ]
1964年埼玉県生まれ。上智大学卒業後、NHK記者を経てフリーに。時代の隙間に埋もれた奇妙な事件やエピソードの発掘が得意(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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つちのこ
37
この未曾有の事件を追うことになった動機が突発的かつ流動的。事件の背景を怨恨や差別によるもの以上に、集落にはびこっていた夜這いの風習による性の乱れに起因しているということに執着しすぎているのも鼻につく。報告書や遺書などの当時の資料を掲載しているが事件の核心には迫れておらず内容が薄い。不十分さを補うためか、三年後に上梓した『津山三十人殺し七十六年目の真実』では、筑波昭著『津山三十人殺し』の内容矛盾を指摘しているものの、新たに発掘された真実から新解釈を記しているので、ライターとしての拘りを見ることができた。2023/10/01
kokada_jnet
32
津山三十人殺しの舞台は、自分の父親の家の代々の墓がある地の、隣の集落で。あそこは、相当な山中だと自分的には思っていたら。都井睦夫の生地はさらに深い山村で。両親の死後、祖母の実家がある「加茂谷では比較的、交通の便がいい地」に引越していたのか。都井睦夫の生地の側に昭和43年にできたダムって、自分の父親の昔の職場じゃないかな。子供の頃にしか行っていないので、どうも地理感覚がわからん。いずれ、機会があれば再訪してみるか。2011/08/12
たぬきごんべい
24
津山30人殺しは知っていても犯人のバックグランドは知らなかった。著者の憶測の部分もあるが、生き残りの方々へのインタビューは興味深い。アメリカからの資料にはどのようなことが書いてあったのだろう。助平屋敷に夜這い文化って戦前の田舎町は今よりずっと大らかだったようです。ただそのことによってこの事件が起きたとは考えられない。被害者の冥福をお祈りいたします。★3.52019/04/03
C-biscuit
18
図書館で借りる。先般、八つ墓村を読み、この事件について知る。有名な事件のようであるが、知らなかった。内容は、この津山事件について再度検証し新解釈を与えるものである。基本的なところがわかっていないので、一般的な解釈本を読んだ方が良かったのかもしれないが、犯人の都井睦雄が祖母と血縁でない可能性があるなど、犯行への動機や行動についてはこちらの方が良いとも感じる。一方で、夜這い文化を理解しないと、この事件の真相に迫りまた理解することができない。また、犯人が村八分にされていた、時代と村文化も知らなければならない。2016/04/10
たぬ
16
★4.5 1938年5月に起きた事件を追ったもの。2011年発行、筆者はNHK記者出身のジャーナリスト。たった一晩で30人が殺害された猟奇的事件で『八つ墓村』のモデルにもなった、程度の知識しか持っていなかったので当時を知る人々にも取材をした本書は夢中で読み耽ってしまった。一言でいえば「寝る時ぐらい施錠しろよ」なんだけど、労咳差別からの村八分だのお盛んな夜這いだの、昭和初期の奥まった寒村独特の風習が惨劇を生んだのは間違いないと思う。2019/05/05