内容説明
「この城は人を喰らうか―」元亀三年(1572年)、武田信玄が上洛を開始。最強武田軍に襲い掛かる毅戮の城の正体とは!?かつてないスケールの戦国時代小説誕生!!
著者等紹介
三吉眞一郎[ミヨシシンイチロウ]
1951年、静岡県静岡市生まれ。獨協大学外国語学部ドイツ語学科卒業。卒業後、サンリオに入社、三年後に退社し、長年の夢であったドイツに留学。フライブルグ大学にてヨーロッパに残るイスラム建築について学ぶ。帰国後、旭通信社(現アサツーディ・ケイ)に入社し、広告プランナーとして活躍。2000年頃より会社員生活の傍ら、小説の執筆を始め、書き溜めていく。2011年に定年退職後、本格的に執筆活動に入り、『翳りの城』で作家デビューを飾る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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みや
29
甲州武田軍が人を喰らう城に次々と屠られる時代小説。帯の『殺戮の城』の文字を見てスプラッターかと思いきや、「戦」を生々しく描く歴史小説だった。架空じみた超人的英雄も快楽殺人鬼もいない。凄惨な言葉や描写によって、阿鼻叫喚の地獄を現出してしている。血と悲鳴と痛み。これが正に、実際の戦なのだと思う。弾け散る肉体と大量の血液に煽られながら一気読みした。各々が抱く怨讐や憎悪は圧倒的な熱量を持つのに、それを包む肉体は脆く、命は呆気ない。人を捨てて鬼になろうとも、最期まで慈愛や誇りを持ち続ける彼らが、私には輝いて見えた。2018/10/12
メタボン
21
☆☆☆☆★ 奇想あふれるスプラッター時代小説。何度も表表紙の城の絵と、裏表紙の城の図面を見ながら読み進んだ。凄惨な場面が多いが、人を食らう城というスケールの大きな奇想に幻惑されながら、あっという間に読んだ。三吉眞一郎恐るべし奇才。和田竜とは全くタイプは違うものの、彼とともに新たな時代小説の旗手となるであろう。2015/03/04
こっち
21
人を喰らう異形の城――。そこで待つのは果たして人か鬼か。まるでホラーを読んでいるのかと錯覚させられるほどの冒頭で、すでにノックアウト。あとはズルズルと引き摺り込まれるようにこの城に渦巻く憎悪と悲哀に呑まれてしまいました。戦さ人たちそれぞれに人生があり、守るべきものがあり、成さねばならぬことがある。どこにも救いが無いことこそが戦さなのでしょう。虚しくも切ない、非常に素晴らしい作品です。2014/08/05
ゆずぽん
14
元今川の侍たちによる武田兵への復讐劇。たった一日の出来事ですが、一日で1800人もの武田兵を飲み込んだ人喰い城。人を喰うだけあって、血みどろな描写は多かったけれど、奇想天外で息をのむ展開は面白かったです。救いのない負の連鎖、これは現在にもあること・・どこかで断ち切れないものだろうか・・2014/09/02
ren5000
12
壮絶な描写やエグい回想などこういうのが得意じゃない人はおすすめできませんが大丈夫な人はこの人を喰らう城の話は面白いんじゃないかと思います。いつの時代も戦争は悲惨でいつも一番の被害者は力のない善良な市民であるということ。せつのエピソードが唯一救われる話なんだけど一度受けた恨みは連鎖するしなかなか終わらせるのは難しいだろうなぁ。2014/05/20