感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kazmimagica
10
四ッ谷駅近くの事務所で仕事していた時、書店の片隅で本書に巡りあった。極めて猥雑な描写の中に、描かれる男女の機微、あふれでる気品、そして優しさと儚さ。同じ空間で生活していたことで得られたであろうデジャブ的な親近感。そして…高浜寛という稀有な作家と出会えた偶然に感謝。2014/08/26
ビッチュウ
8
面白かった。大正末期のエロ雑誌の編集が戦争に傾いていく時代の中で出会う恋愛物語。前半のコミカルな場面から次第に戦況と共に展開もシリアスに重くなります。しかし、それでも妙に魅力在る登場人物もあり、楽しめました。編集長の少し間抜けなところと、仲間から非難されながらも主義より家族を取り生活する姿等から思いが募ります。全体としてすんなりと物語が進行し、大正日本の街並みも良かったです。紹介文の帯に漫画家・こうの氏の推薦に惹かれ手を取りましたが、良い出会いでした。2015/07/18
kyawo
7
話としては エロ路線が真ん中にあるのだが、表現の自由がだんだん規制され、世界がきな臭くなるあたり 今の情勢とどうしてもかぶらせてしまう自分がいる。しかしそれでも人は人を愛し生きていく と 頭では分かっていても 今の流れは容認しがたい。作者もその当たりに警鐘を と思っているのだろうか・・・2014/01/25
チョビ
6
大正〜昭和初期の、今の新宿2丁目界隈に住む20代前半の風俗ライターの取材日記みたいな感じでしょうか?知的エロさ炸裂。とんまつりに出かけたりエロデッサン会に出かけたりするわけですが、いちいち人間ドラマが深く軽く描かれていて、著者のバランス感覚の良さに恐縮・:*+.\(( °ω° ))/.:+。JKお嬢の「エロは学問的探究心」「自分が傷つくのはいや」というセリフは「賢明」な現代人のように思う。そこに早く気付くべきだった( ;∀;)2017/03/25
ムーミン2号
5
大正末期から昭和の初めにかけて、「性ノ扉」という雑誌を発行した編集長とライターのアバンチュールを描きながら、時代を描いていく作品。同じ作者による『ニュクスの角灯』と構成やニュアンスが似ている。すなわち、ラストに終戦後に一気にワープするストーリー構成、扱う時代の雰囲気の表現が似ているが、それぞれの内容が異なるので別の面白さがある。「性ノ扉」は発禁雑誌とされているが、その信憑性は不明。ただ、大正デモクラシーがなせる業ならばと変に納得してしまった。赤紙一枚で、愛し合う人たちを裂いてしまう戦争は、罪だ。2025/05/18
-
- 電子書籍
- 2LJK(2) サンデーうぇぶりコミッ…
-
- 電子書籍
- 海と風と虹と(中)