内容説明
新世紀の幕開け直前のロンドン。人々を恐怖させ、大混乱に陥れたその事件は、宵のうちから降りだした雪が風に舞うなかで始まった。翌朝、一人の男の死体が発見された―体中の骨が砕け、青あざだらけで膨張した、見るも無惨なもの。しかし、周囲には足跡ひとつなく、ましてや凶器もなかった。まるで空気、いや“神の息吹”に殺されたかのようだった…。このあまりにも“不自然な死体”の謎がシャーロック・ホームズのもとに持ち込まれた。相談にやってきたのは、“心霊医師”の異名をとるジョン・サイレンス博士。うさんくさげな人物に難色を示すシャーロックだったが、「事件はこれだけでは終わらない」、と告げられ相棒のワトソンと共に、“神の息吹”の謎を解明すべく行動を開始する。それはロンドン中を巻き込む、大事件の始まりだった…。
著者等紹介
アダムス,ガイ[アダムス,ガイ] [Adams,Guy]
俳優として十二年間活動後、専業作家となった。シャーロック・ホームズ研究の第一人者
富永和子[トミナガカズコ]
英文学翻訳家。獨協大学外国学部英語科卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Bugsy Malone
71
ホームズ、ワトスンのコンビに加え、これは一癖あるという実在の人物やら小説上の人物やらが入り混じって登場。彼等が出てきたからにはやはり物語は魔術的な要素が多く、それら相次ぐオカルト事件の中でワトスンが翻弄される経過はとても面白い。そして最後にホームズがどんな決着をつけるのか、そこが1番の興味深い所だけれど、明かされた真相は都合が良すぎて少々拍子抜けしてしまう。当時のオカルト熱を反映したアイディアも登場人物も良いのにそこが残念で仕方がない。2020/12/28
miroku
25
ホームズ、カーナッキ、サイレンス博士、クロウリー・・・好物です♪2015/10/10
オザマチ
13
超自然現象vsホームズといった趣きのホームズパスティーシュ。かの有名なアレイスター・クロウリーまで登場し、「やりすぎじゃね?」と感じる部分も。まあ、ホームズ原作もアレな話が意外と多いし、致し方無いよね。2015/07/29
すけきよ
11
カーナッキ!ジョン・サイレンス!クロウリー!が共演!とか言われたら素通りできないじゃないですか!う~ん……この手のサンプリング小説の中ではまぁまぁな部類だとは思うんだけど、「絶対にオカルトは存在しない」派のホームズと、その対極のオカルト探偵の共演は、やはり無理じゃない?作者はホームズ研究者だからホームズ寄りになるのは当然だけど、オカルト探偵もので一番好きなジョン・サイレンスの扱いがひどすぎる……かと言って、オカルトが実在するとなると、ホームズが間違っているということになって、それはそれで嫌だしなぁ。2014/10/10
ヴィオラ
10
いみじくもホームズ曰く「バスカヴィルと同じ作戦」という通り、ホームズが表に出てくる事が少なくて「ホームズ譚」というには少し印象が薄いかも。まぁ、カーナッキ、サイレンス、クロウリーとオカルト勢が多数出てくるので、少しオカルト寄りなのかも。(お話の長さに比べてちょっとキャラが渋滞してる印象もなきにしもあらずだけど…)それでも最後はホームズの見せ場を設けてあって良きかな良きかな。2022/09/11