内容説明
第三次世界大戦後、独裁国家と化した近未来の英国―そこは政府が人々の自由を剥奪し管理する世界だった。TV局に勤める普通のOL、イヴィーは外出禁止令を破り自警団に襲われそうになったところを「V」と名乗る仮面の男に救われる。謎の男「V」は裁判所の爆破、TV局の占拠、政府要人の暗殺、主教の断罪と、次々と国家に対して反逆の狼煙を上げる。図らずも正体不明のテロリスト「V」と知り合ったイヴィーは、彼の行動力と知性、カリスマ性に惹かれつつも、過去の怨念にかられたとも思えるその過激さを恐れる。さらに「V」は革命の総仕上げとして、かつて1605年に政府転覆を狙ってガイ・フォークスが企てた“火薬陰謀事件”と同日である11月5日に圧政国家を糾弾するため市民に国会議事堂へ結集するよう呼びかける。そんな中、イヴィーは謎に包まれた「V」の素性を徐々に知るとともに、自分自身についての真実も知るようになる。そして、悲願の11月5日がやって来る―果たして革命は成功するのか?イヴィーの決断は?「V」の命運は?映画本編では描かれなかったビハインド・ストーリーを含む完全小説版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スー
18
114大好きな映画なので映画では描かれていない部分を楽しみにしながら読みました。各登場人物達の心理や過去がしっかり書かれていて物語の深みが増してより豊かになっていて読んだ後にまた映画を見直したくなります。Vのアクションに目がいきがちでしたがこの本ではガイフォークスのマスクが意外と表情豊かで驚きました。2021/10/03
絹恵
14
笑顔を貼り付けて永遠に色を失ったその仮面の下から溢れる強い感情は、知らず知らずのうちに流れ込んできました。名前を呼ぶときはいつだって優しかった、だから優しい嘘が困らせて決意させます。この管理社会がcavilersばかりなら、そのとき円環的に大衆の反逆が起こるだろう、それは全て忘れてはならないvisceral voice.2013/12/12
籠り虚院蝉
2
原作所持済み、映画も1年で必ず3回は観るファンで、ようやく映画ノベライズ版も触れることができた。映画とほぼ同じ流れを辿りながら各登場人物の掘り下げも成されていて、原作や映画だけではわからないような更なる楽しみを見い出せる一作。Vや理念だけでなく『V for vendetta』という作品もまた、自分にとって永遠に違いない。2015/06/03
パリスお布団
1
長かったなアー!映画を観てからだとキャラクターの体験や心象風景がよく見えて面白い。だが前時代的渋刑事すぎて固くってフィンチのPOVはどうもツマランです。ていうか、要所要所で1812 OvertureとCry Me A RiverをBGMにしてノリノリで読書してたら、クライマックスの音楽がチャイコじゃなくなってる!ヘンデル!コケました。 2017/10/26
life4errand
1
「この仮面の下には、理想があるのだ」今年も再読。読んでいて作者の作品への愛を感じられる。こういう本は読んでいて面白い。純然たる娯楽でありながら、物語展開は丁寧に練られており、独裁国家となった近未来イギリスのディストピア的世界観も素晴らしいが、何よりも仮面の男Vを筆頭に登場人物がしっかりと立っているのが良い。ディストピアものや社会的SFが好きなら薦められる。2014/01/07