内容説明
別れた女の実家に供花や卒塔婆を投げ込んでは墓場にする男、腐った赤子を抱いてヒッチハイクする女、ゴキブリを自由に操ることのできる不思議な男…。「超」怖いシリーズの鬼才、平山夢明がじかに拾い集めた、ぬめるような怖さを湛えた本格怪奇譚全42話。幽霊や妖怪など一切出てこない。これはすべて現実の名のもとに起きた恐怖、極限のリアルホラーである。
目次
素振り
リモコン
地下病院
家庭教師
歌舞伎町の笛吹き男
東京プリティ・ウーマン
ホームレスの人
ネックレス
親切
エンスト〔ほか〕
著者等紹介
平山夢明[ヒラヤマユメアキ]
1961年神奈川県生まれ。映画、ビデオの批評、制作からCFの企画、インタビュー、ルポ、自動販売機の営業、コンビニの店長と、様々な職歴を重ね、現在は生理的に嫌な話を書かせたら日本で三指に入る小説家にして、日本でいちばん陽気な怪談コレクター
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
238
平山夢明さんの怪談ではない怪奇譚はもう本当にえげつないですよね。ヒロインがギリギリで救われたり犠牲者を傍観者の立場で見ていたりするだけでもまだマシな方で、この本のエピソードを教訓にして酷い目に遭わぬ様に殺られない様に清く正しく油断怠りなく生きましょうね。これは超怖いけど現実にあって少しもおかしくない話ですね。『病院まで』夜、ファミレスのバイト帰りに中村君が車で家に向かっていると女が現れ車に向けて頻りに手を振っていて胸には赤ん坊らしき人影を抱いていた。「子供が、子供が、お願いします病院まで、このとおりです」2021/05/08
じゅんぢ
44
幽霊話なら一応出くわす理由ー事故物件に棲んでいたり、心霊スポットに行ったとかそれなりのわけがあるけど、この作品に出てくる話はいつもと変わらない日常に突然現れるから怖い。2019/10/02
牙生えかけのサイコ
29
はい怖い。分かってたけど怖い!!実話ベースの都市伝説系恐怖短編集。どれもフィクションならいいのに…と祈らずにはいられない。それだけ、現実に起こってもおかしくないエピソードの嵐。私も高校生の頃、裸の上半身に般若心経を書いた長髪の男に自転車で追いかけられたことがありますが、まだ運が良かったなあと思える話ばかりです。犬の首を…接着剤で…ビー玉が…はわわわわ。パクられ屋と山の話が興味深かった…鈴木ごっこ思い出した。ラーメンの話は「反吐が出るよな〜」の元ネタでしょうか、う〜ん、えげつない!2017/04/23
hannahhannah
16
東京伝説シリーズ第二弾。前作から四年、出版社を変えて発売。今作も前作通り、幽霊ゼロ異常者てんこ盛りの内容。アメリカの田舎ホラーっぽい「エンスト」と「コンビニ」が面白い。そして最後の「フラスコ」は強烈。一人暮らしの女の部屋に刃物を持った男が侵入してくる話と、女が元ボーイフレンドからストーキングされる話が多く感じた。男女問わず、一途な人間ほど執着心が強いからストーカーになる。男も女も掃いて捨てるほどいるんだから、執着する必要はない。関係が終わったなら解放されたと捉えよう!独立記念日、4th of Julyだ!2017/01/05
猫丸
13
シリーズ第一集。巻頭の口上で平山氏はいう。「彼女たちの中では終わっていない物語である」そう、彼女たち。狂気被害者の大半は女性であるとされる。現代女性が安全に生きることはノーコストでは済まない、と。女性の生きにくさは、主に個体の大きさ、平均的筋力の差という単純な事情に起因する。社会性が剥ぎ取られたとき、むきだしの暴力が人間関係を支配するのか。もうひとつ。自分の死が確実であるとき、誰かを巻き添えにする心情は普通のことなのか。われわれは「死刑になるため」の犯罪に共感可能なのか。2021/11/02
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