内容説明
ゾミアとは、ヒマラヤから東南アジア・中国にひろがる山地に分布する、独自の文化、社会、生態環境をもつ自治の空間である。本書は四国山地をこのゾミア的空間の一つとしてとらえ、多分野の研究者たちが、地域を文理融合的視点で複眼的にみる面白さを伝える。
目次
序章 ゾミアの地球環境学とは何か―四国山地から世界をみる
第1部 地質と人間―動く大地とともに生きる(四国山地の地質・地形と暮らし―生活文化のベースを作る大地;四国山地の道の風景―現象としての道、施設としての道路;工作者の風景―徳島県神山町の農家の生活空間;土地が生む石積みと石積み技術―四国山地に見る生活技術;鉱物資源から地域をみる―別子銅山の街の消長)
第2部 微生物と文化―“おいしい”をつくるつながり(地域伝統発酵食品としての後発酵茶―阿波茶・碁石茶・石鎚茶・バタバタ茶;微生物からみた後発酵茶の地域性;アジアにおけるチャの伝播―嗜好品作物としてのチャ;阿波晩茶と地域社会―近現代における晩茶の流通と消費;乳酸発酵茶・阿波晩茶の製法と用具―自家用品と農産品とのハイブリッド型生産)
第3部 森と近代―景観を生み出す統治と流通(森をつくる統治―魚梁瀬山を巡る統治機構と地元民;歴史学からみた近世の山里―阿波国那賀川流域を題材に;山で食べ、山を離れ、山を変える時代へ―和紙原料栽培をめぐる四国山地と森の変化;森を活かす産業―高知における製炭業の変容;森と人の近代史を伝える―魚梁瀬森林鉄道の遺産化のうごき)
第4部 山村の未来―他者とともにある景観(草地から“自然”へ―剣山系における半自然草地の近代;世界農業遺産の景観―徳島県西部の山村景観を産業資本主義の跡地として捉える;四国山地の集落の景観を支える価値観;クマもいる四国山地をめざして―自然との対立から共存へ;終章 日本の地域を見ることの面白さ―東南アジアで再発見する四国)
著者等紹介
内藤直樹[ナイトウナオキ]
徳島大学大学院社会産業理工学研究部准教授。専門は、食・景観・エネルギーに関する文化人類学やアフリカ地域研究
石川登[イシカワノボル]
京都大学東南アジア地域研究研究所教授。専門は、文化人類学、東南アジア地域研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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