内容説明
就学前の子をもつ母親たちは働きながら子育てをすることの困難をどのように経験し、仕事と育児・家事のバランスをどのように交渉しているか、またそのありようは階層によってどのように異なるか。これまで高学歴世帯に偏った視点で語られてきた問題を階層的視点から捉え直し、母親業という困難な営みをめぐる課題を提起する。
目次
序 章 働く母親と階層化[額賀美紗子・藤田結子]
I 格差社会における子育てと仕事のダブル・バインド
II 子育てと家庭教育に関する研究動向
III 仕事と家事に関する研究動向
IV 調査の方法とデータ
V 本書の構成
第I部 育児・家庭教育[額賀美紗子]
第1章 母親意識と時間負債──母親業と仕事を織り合わせる
1 はじめに
2 女性たちの母親意識と時間負債
3 母親業と仕事を織り合わせる女性たちの戦略
4 時間負債を緩和する保育制度とその限界
5 本章のまとめ
第2章 家庭教育へのかかわり方と就業意欲──「親が導く子育て」と「子どもに任せる子育て」
1 はじめに
2 2つの子育てタイプ
3 「親が導く子育て」の規範圧力とコスト
4 子育てタイプと階層差
5 子育てタイプと就業意欲の関係
6 本章のまとめ
第3章 家庭教育における父母の役割分担──4つの類型
1 はじめに
2 子育てタイプの4類型
3 家庭教育の父母分担に作用するジェンダー秩序
4 階層の影響と格差の形成
5 本章のまとめ
第II部 仕事・家事[藤田結子]
第4章 大卒女性の稼ぎと職業に対する意識
1 はじめに
2 育児期女性の稼ぎと職業
3 誰が稼ぐのか
4 ジョブかキャリアか
5 夫との関係
6 本章のまとめ
第5章 非大卒女性の稼ぎと職業に対する意識──日常生活のリアリティ
1 はじめに
2 誰が稼ぐのか
3 ジョブかキャリアか
4 夫との関係
5 前章と本章のまとめ
第6章 愛情料理は誰のため─写真にみる家庭の食卓
1 はじめに
2 食事の用意をめぐる議論
3 誰のためにどう作るのか
4 本章のまとめ
【コラム】コロナ禍の家事育児分担とエスノグラフィー[藤田結子]
終 章 仕事と子育ての不平等是正に向けて[額賀美紗子・藤田結子]
1 本書で明らかになったこと
2 知見から見出せる政策的示唆
3 今後の課題
補 章 フィールド調査の方法[藤田結子・額賀美紗子]
あとがき
初出一覧
参考文献
索引
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