内容説明
アフリカの遊牧民に魅せられた人類学者によるアンソロジー。彼らに惹かれる最大の理由は、その「ブレない生き方」。現在さまざまな困難に直面する私たちにとって、同じように激動の時代を生きる遊牧民の思想は、どんな意味をもつのか。読者とともに考えたい。
目次
遊牧の思想とは何か―困難な時代を生き抜くために
第1部 牧畜という生き方(自己肯定的な生き方を支えているもの―トゥルカナ社会における「物乞い」のコミュニケーション;ねだられることを許す―アリアールにおけるねだりの経験からみた社会;交歓と相互承認を創出する―家畜の所有をめぐるトゥルカナ・レンディーレ・ガブラの交渉;難民を支えたラクダ交易―治安・旱魃・協働;もめごとを祖霊の世界に託して―焼畑農耕民ベンバの「考え方」)
第2部 紛争を乗り切る(国家に頼らない遊牧民の生き方―周縁化・併存化・独立国化;身体と暴力―武装解除期のカリモジョンとドドスの病;敵と友のはざまで―ドドスと隣接民族トゥルカナとの関係;「男らしさ」を相対化する―ダサネッチの戦場体験;交渉の決裂と離別―人殺しをめぐるアチョリの規則と相互行為)
第3部 グローバリゼーションに向き合う(伝統の「便宜的」な使い方―「コミュニティ主体」の動物保護とマサイ;「ボーシィ」たちの「旅」の終わり―観光業に従事する「マサイの戦士」の経験;生計戦略の多様化―社会環境の変化に対するレンディーレの対応;「大富豪」世帯の維持―スクマ社会における父と息子の葛藤;開発のための家畜―第二次世界大戦後のケニアにおける家畜の市場化)
著者等紹介
太田至[オオタイタル]
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科/アフリカ地域研究資料センター教授。理学博士。専門はアフリカ地域研究、人類学
曽我亨[ソガトオル]
弘前大学人文社会科学部教授。博士(理学)。専門は生態人類学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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