内容説明
新しい発見、学説、解釈を取り込んだ最新の概説書。
目次
五代・契丹・宋・金(中国本土の動乱と契丹の勃興;北宋の中国統一と〓(せん)淵の盟 ほか)
元(モンゴル帝国の中国地域への拡大;クビライ政権の誕生 ほか)
明(明初体制の確立;永楽帝の中華帝国 ほか)
清(明朝と清朝;「大清国」 ほか)
民国・現代(中華民国の成立;国民政府の時代 ほか)
中国史研究の手引き(研究入門;史料を読む ほか)
著者等紹介
冨谷至[トミヤイタル]
1952年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程中退。現在、京都大学人文科学研究所教授。文学博士
森田憲司[モリタケンジ]
1950年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。現在、奈良大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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なつきネコ
10
やっと終わった。下巻のほうが読みやすい。上巻は人物で歴史を追たが、下は文化を追ったのが良かった。明の海禁政策を続けたわけでなく1570年体制で緩和していたことや、江南文化の発展、張作霖爆殺以後の張学良が重要人物になっていたのがわかった。怖いのは日本軍の暴走とあるが、人物名が出てこない当たりに当時の暴走が想像できた。しかし、上巻が唐で終わったためか唐宋変革を重くおいてなく、20世紀の満州事変以後の記述が物足りない。文革とか鄧小平を詳しく書いてほしいと思う。真実、どうかわからない南京虐殺を記載はどうなのか。2022/11/30
tieckP(ティークP)
6
上巻と違って、元以降はずいぶん読みやすくなり、さほど苦労せずに通読できた。好みの問題ではなく、流れを意識した叙述が増えてるのではないかと思う。その分、苦行の楽しさというか、「読みづらいけど情報量多いからこれを読み通せばためになるぞ」という厳しい学問的ムードは減っていて、取捨選択の捨が少しあるかもしれないと感じた。巻末の「中国史研究の手引き」は読み物として面白い。自信ないところは自信なさそうに書くところも良いし、「清代の学者の学力は後世の我々とは比べ物にはならない(ほど高い)」という発言は非常に重たい。2017/02/05
電羊齋
4
下巻は五代十国から現代まで。近年の日本での中国史研究の大きな変化がよくわかる。まず「多国体制」、「多極化時代」としての五代、契丹、宋、金の位置づけが目を引く。次に、契丹と元に関する記述の充実ぶり。さらに明、清、近現代についても1990年代以降の新しい論調を反映。そして、オススメなのが、巻末の森田憲司氏の「中国史研究の手引き」。単なる参考文献名の列挙ではなく、それら文献の使い方、実際の使い勝手、さらには森田氏自身の豊富な研究経験から得た心得についても書かれてあり、大いに参考になる。2017/01/31
さとうしん
2
上下巻合わせての感想。同じく昭和堂から2005年に初版が出た『中国の歴史』上・下の新版という位置づけだが、前著では1990年代以前の論調を引きずっっている面があったのに対し、今回はほぼ完全に90年代以降の論調に切り替わっている。前著には「唐宋変革について」という一節が下巻の冒頭にあったが、今回は時代区分論に関する解説がないのは、その象徴だろう。2016/02/17
角弓
1
上編と比べると、下編はよりユーラシア的な性格を持っています。石川先生による近代史に対する視点は初めて目にするものです。最後の手引きは非常に価値が高く、さらに森田先生の中国史への情熱が感じられます。2023/01/31