出版社内容情報
古代の混沌を生きた孔子は人間性の確立を、近代の矛盾に立ち向かった魯迅は国民性の改革をめざした。国家と社会の「教育」に生涯を賭けた彼らの思想と行動を描く。
内容説明
戦乱の世に仁義道徳を主張して学団を組織し、志士仁人の道を説いた中国古代の思想家・孔子と、民国初期の植民地化という危機を背景に、国民性の改革をめざした魯迅。中国史の豊かな素養を背景に、彼らの活動に共通する「教育」という側面に着目し、国家と社会の「教育」に生涯を掛けたその思想と行動を浮き彫りにする。
目次
1 孔子の原像―人間性の確立(春秋時代の孔子;孔子の就職願望;実力発揮と「正名」論;孔子と周王朝 ほか)
2 魯迅の偉業―国民性の改革(周家の没落;少年魯迅の目覚め;民族主義の嵐―日本留学時代(一)
魯迅精神の原点―日本留学時代(二) ほか)
著者等紹介
片山智行[カタヤマトモユキ]
1932年、大阪市に生まれる。東京大学文学部中国文学科卒業。大阪市立大学大学院文学研究科中国文学専攻修了。博士(文学)。大阪市立大学文学部講師、助教授、教授、文学部長。のち関西外国語大学教授、国際言語学部長。北京語言大学客員教授。吉林大学客員教授。現在、大阪市立大学名誉教授。関西外国語大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ばんだねいっぺい
21
孔子の儒学は、芯さえ外さなければ、イメージよりも自由闊達だと教えられた。ただ、その余白を後世が封建主義として利用したことにより魯迅が苦しむことになったという仕儀。当たり前のような考え方や振る舞いは、常に再考すべしというのは、不変のことだ。2024/02/27
酔うた
0
中国の「いい加減さ」を戒めた魯迅と、実は究極のリアリストでもあった孔子、中国の源流を覗くことができた。それはののまま現代中国問題と直結していて、すなわち日本の問題となる。片山氏の魯迅へのまなざしがとにかく「熱い」ように感じるのは、魯迅の偉大なる精神のなせる技だと説得させられる。2015/10/17