内容説明
音楽を愛し、騎士道を重んじた偉大なる君主?エリザベス1世の母アン・ブリンに熱烈なラヴレターをしたためたロマンティスト?気に入らない王妃を処刑したイギリスの青髭?ヘンリ8世という名の迷宮にようこそ。
目次
1 ヘンリとはどのような人物であったのか?(ヘンリ八世の六人の妻;ヘンリ八世時代の宮廷;音楽家としてのヘンリ;ルネサンス君主)
2 ヘンリの国内統治はどのようなものであったのか?(議会;儀礼;宗教と教会;反乱)
3 ヘンリの対外政策はどのようなものであったのか?(戦争;外交;ヘンリ八世とスコットランド;ヘンリ八世とアイルランド)
4 ヘンリの死とその後の影響(ヘンリの死と墓;描かれたヘンリ―歴史とフィクションの狭間に生きるイメージ)
著者等紹介
指昭博[サシアキヒロ]
1957年岸和田市生まれ。大阪大学文学部西洋史専攻卒業、大阪大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学。現神戸市外国語大学教授。博士(文学、大阪大学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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viola
7
指氏の歴史関連書には間違いないから、と思ったら、執筆者が何人も。注釈がないので専門書ではありませんが、内容はかなり専門的で、論文にも使えそう。と言いつつも、読みやすい。なかなかアスクらの反乱や、大使について記している本ってないですよね。修道院解散は、何も宗教改革後から始まったわけではなく、その前から散発的に行われていたらしい。あと、ヘンリー八世はウィンザー城でヘンリー六世とエドワード四世と共に眠ると決めたと。しかし後に墓に入ったたのがチャールズ一世、ジョージ三世っていうのが何とも・・。2012/10/27
ジュンジュン
5
織田信長と豊臣秀吉を足して二で割ったような(あとがきより)感じ。いまだ評価の定まらないほど多面的、冷酷、英雄、多才、愛嬌、「これからもずっとあなたの下僕たる王ヘンリより」(アンブーリンへのラブレター)そんな相手を殺すとか…すごい存在感。2020/11/12
なほみ
3
ヘンリー8世について書かれている本が読みたくて。改めて凄い人生。2021/05/10
MUNEKAZ
2
女性関係ばかりが注目されがちなヘンリ8世の、治世の面にもスポットを当てた一冊。タイトルに「迷宮」とあるように前半生は比較的名君で後半生は暗君という評価しづらい人物のように思えた。先王のもたらした蓄財と安定の上に、ヘンリ8世という行動力だけはある人物が乗っかると、良い意味でも悪い意味でも物事が変革されていくということなのだろうか。2016/07/09
叙述トリックに盛大に引っかかりたい
1
ヘンリー八世とその治世を、人柄、国内、対外政策、死後に分けて語っていく本。ひとつひとつの章自体は短くまとまっていて読みやすく。ヘンリー八世時代の議会や宮廷について、はじめて纏まったものを読んだ気がする… のっけからヘンリー八世からアンへのラブレターの胸焼け具合が凄まじくて笑っちゃった。 遺言はカトリック傾向がある(聖母マリアや諸聖人への取りなし願い、祈りやミサの希望等)一方、ヘンリー八世が計画していた墓にはその気配が薄れている(聖人像がない)の、彼の信仰のぶれを示していて良いなぁ。2021/09/16