内容説明
白秋門下の三羽烏と謳われた大手拓次。しかし一般的にその詩の評価は「グロテスクな空想によって、大胆に性欲を描く」という偏ったものであった。愛敬浩一は独自の視点でそれを覆す。本書はただの「感想」「雑文」に止まらない。これまでの研究書に拘らない新鮮で画期的な「大手拓次入門書」なのである。四十六歳で亡くなるまでずっと「詩が本当に必要だった」大手拓次の、新たなる肖像がここに出現した。
目次
プロローグ―詩「蛙の夜」を読む
大手拓次には詩が必要なんだ―吉増剛造・関口彰
大手拓次について、もっと突っ込んで勉強してみよう―サルトルのボードレール論
大手拓次の詩について考えるため、彼の日記を読む―詩日記
大手拓次をどう読むか―詩「藍色の蟇」・「慰安」・「陶器の鴉」
篠田一士は大手拓次をどう読んだのか―詩「美の遊行者」・「雪をのむ馬」
伊藤信吉は大手拓次をどう読んだのか―詩「白い狼」・「躁忙」
詩「銀の足鐶」を読む
感覚によるいたんだテクストの解読―詩「香料の墓場」・「香料の顔寄せ」
幻の同人誌「あをちどり」―詩「暁の香料」その他〔ほか〕
著者等紹介
愛敬浩一[アイキョウコウイチ]
1952年群馬県生まれ。和光大学卒業後、同大学専攻科修了。私立高等学校教諭、日本私学研究所客員研究員(兼任)等を経て、現在、群馬大学非常勤講師。日本現代詩人会会員。他に、群馬詩人クラブ幹事、第16回国民文化祭群馬大会現代詩部門予備審査委員、「詩の街 前橋若い芽のポエム」推薦委員(前橋教育委員会主催)、前橋文学館賞選考委員、群馬県高等学校文化連盟文芸専門部幹事、「暮鳥・文明まつり」詩の選考委員、群馬県文学賞(評論・随筆部門)選考委員、H氏賞選考委員等を歴任。2002年には群馬県文学賞(評論部門)受賞。専門は中世歌謡(閑吟集)と近・現代詩、映画、文章表現(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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