感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新田新一
14
作者の本業は医師であり、その仕事の経験をもとにした詩が載っている第一章が特に良かったです。絶えず患者の生と死に接している緊迫感が伝わってきます。「症例検討会で」には、癌の転移を防ぐために患者の足を切断するかどうかに悩んだことが書かれています。作者の決断は正しかったことが分かるのですが、医師の仕事の難しさを感じる詩でした。「ホクロ」では、ほくろに見えたものが、癌だったことが書かれています。病状の一例を、日本の社会に巣くっている悪の隠喩として描いているところに感銘を受けました。2024/05/09