内容説明
17世紀メキシコに生きながら、誰よりも早く、明晰に、近代的精神を先取りした詩人である修道女ソル・フアナの生涯を、ノーベル文学賞受賞詩人オクタビオ・パスが読み解く渾身の大著、待望の邦訳。
目次
第1部 ヌエバ・エスパーニャ王国
第2部 フアナ・ラミレス(一六四八‐一六八八年)
第3部 ソル・フアナ=イネス・デ・ラ・クルス(一六六九‐一六七九年)
第4部 ソル・フアナ=イネス・デ・ラ・クルス(一六八〇‐一六九〇年)
第5部 十人目の詩神
第6部 信仰の罠
著者等紹介
パス,オクタビオ[パス,オクタビオ][Paz,Octavio]
1914‐1998年。20世紀後半のメキシコとラテンアメリカを代表する詩人・評論家・知識人。1990年、ノーベル文学賞を受賞。詩集のほかに、文学・芸術、メキシコの歴史・文化をはじめとする政治・社会・思想、エロティシズム・愛をテーマに数多くの秀逸な評論を著した。その人生はメキシコ現代国家の歩みと重なり、行動する知識人として1970年代から90年代半ばに至るまで文学・芸術・思想・政治の評論雑誌を主宰し、言論の自由を守る立場から政府の政策に批判的な姿勢を貫いた
林美智代[ハヤシミチヨ]
1954年、京都市生まれ。東京都立大学(現・首都大学東京)人文科学研究所史学専攻博士課程単位取得退学。関西外国語大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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兎乃
19
ソル・フアナの『知への賛歌』と合わせ読み。本書は、パスの評論中で最高傑作と言われているらしい。ソル・フアナの創作を精神分析学の立場から分析したプファンドルのソル・フアナ論を、パスが辛辣に批判している箇所を事前に聞き知っていたのでここは興味深く読んだ。第一部はメキシコ史論考。後半、バロック詩・演劇におけるパスのテクスト分析は、その凄さと真骨頂を存分に味わえ、さすがノーベル文学賞・エルサレム賞他数々の賞に輝くパスの名著と唸るばかり。パスのソル・フアナに対する敬意と文学への愛情が満ち満ちた良書だと思います。→2013/02/18
cochou
0
ヌエバエスパーニャ時代を政治・社会・文化を重層的に解明しながらフアナの人生と作品を的確に位置付けてゆく。フアナの作品の歴史的意義、重要性を納得した。知識人に対する政治的圧力と抵抗等現代に繋がるテーマも見据えられていて視野が広い。背景知識が不足しているので骨は折れるが、読んでよかった。2018/05/27
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