内容説明
藤村の詩が近代の曙を告げる美しい心の歌であったように、静雄詩もまた詠われる魂の詩美に満ちていた。しかし、それは敗戦の滅びに至る時代精神と共に在った。本書は、その屈折と苦悩と錯誤に喘ぐ「詠唱の詩碑」に、戦後の視座に拠る光を当て、その詩業を辿り返すことで、詩に於ける近代の終焉を問い、現在を顧みる斬新で真摯な詩論の集成。
目次
1 詩的風土・序―背反と孤立の過程
2 詠唱の詩碑―溯行による各詩集考(日本的抒情の行方―「恋歌」の至情;祈りと祝祭の戦後詩―詩集『反響』他;詩集『春のいそぎ』・抒情の主体 ほか)
3 静雄詩の系譜
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