内容説明
従来、経済地理学は一国内の地域間の産業立地や産業集積パターンの形成問題のみを分析対象とし、経済発展問題に本格的に取り組んだものはごくわずかであった。他方、経済発展論の方は、分析対象として一国内の政策あるいは国と国との国際経済関係を採り上げたものが多く、地理的集中パターンの形成問題としての視点が欠けていた。しかし、国際経済問題は、経済地理学上の問題に政治上の境界の問題が加わる、経済地理学上の問題の特殊ケースに過ぎない。経済発展問題は本来、もっと地理学上の視点から分析されて然るべきである。この本では、こうした経済発展現象の経済地理学的な分析から生じる様々な問題について論じている。
目次
経済発展問題への新しいアプローチ―経済地理学の視点から
第1部 農工間労働移動と経済発展(都市化と経済発展―収穫逓増下における、国際間の発展の集中パターンの形成と、その変化のメカニズム;発展水準の両極分解とその再収束過程のシミュレーション;経済発展過程における生産性成長と要素投入成長の役割)
第2部 技術革新、資本財産業の集積と経済発展(資本財産業の形成と技術革新;技術ハブ形成のメカニズムと国際分業パターンの形成―地域規模と地域間の機能分化;経済の発展サイクルと工業化の国際波及のメカニズム)
著者等紹介
松尾昌宏[マツオマサヒロ]
1965年京都市に生まれる。1988年京都大学経済学部経済学科卒業。1995年京都大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。京都学園大学経済学部専任講師。1998年経済学博士(京都大学)。現在京都学園大学経済学部助教授、経済発展論、国際経済学担当。2001年4月より桜美林大学国際学部助教授、経済開発論担当(予定)
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