内容説明
本書は、ヒュームとスミスの道徳哲学と経済学についての継承関係に留意しながら、それらの全体的な理解にできるだけ接近し、ヒュームやスミスが当時の文明社会や市民社会をどのように認識していたのかを考察したものである。
目次
第1章 ヒュームの『人間本性論』における道徳理論と市民社会
第2章 ヒュームの『政治経済論集』と名誉革命体制
第3章 ヒュームの貨幣理論とスミス
第4章 スミスの「天文学史」と道徳哲学
第5章 スミスの道徳哲学と『国富論』
第6章 スミスの歴史認識と「商業社会」の成立
第7章 スミスの自然神学と為政者の役割
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
8
両名に関する論文集。「ヒュームは、当時のイギリスの国制、すなわち名誉革命体制を、現実的には文明社会の発展にふさわしい国家制度であると認識していた。そのために、当時の政治勢力であるトーリーとウィッグの両党に相互の歩み寄りを期待し、またハノーヴァー家による王位継承の正当性を確認して、ジャコバイト主義をしりぞけたのであった。この根底には、旧国家制度をめぐる議論を虚構にすぎないものとして否定し、経済社会の発展に伴って文明の進歩が徐々にもたらされてきたとする彼独自の歴史に対する認識があった。」2021/06/10
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