感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よこたん
36
“やがて老人の前を通るときに、青年は黙礼をして、ばらの花をかいだのでした。老人は、なにかものをいおうとすると目がさめました。それはまったく夢であったのです。” そっと目を閉じれば瞼に浮かぶ、少し霞んだような野ばらの茂み。立ちのぼるきりりとしつつ甘い匂いと、飛び交うみつばちの羽音。小学校の教科書で何度も音読して、国境の石碑と野ばらの絵を描いたことも覚えている。こんなにも哀しい物語だったのか、戦争というものへのやり場のない怒りが込められた物語だったのかと、歳を重ねたことで気づくものがあった。巻末の解説に唸る。2025/06/02
ヒラP@ehon.gohon
9
【再読】大人のための絵本2025/06/19
はるあいママ
9
戦争をしたがっているのは、国の指導者であって、 それ以外の民たちは、戦いなんて望んでいない。 『戦争をやめた人たち』と通じるものがありました。2025/05/13
なな
2
別版読む予定が、こっちが先になってしまった。解説が素晴らしい。10代ではしんみりしっとりなんの迷いもなく読み過ぎたが、黙礼しバラの花を嗅いだひと月後に枯れた野ばらの意味を今の私は完全には捉えられていない。何故か中学時代社会科教師に「君は社会主義者か?」「正しさに殺されないために自分の言動を他人がどう受け止めるかも少しは考えなさい」と言われたことを突然に思い出し、驚いた。なぜか内村鑑三読み返そう!とおもった。2025/05/17
mayuri(Toli)
0
小川未明の哀しい童話、野薔薇を初めて文学の扉を開くような子どものための絵本としてまとめた一冊。文学ノ憧景、正直乙女の本棚シリーズとにてるコンセプトかなと思ったが、お話的に、ホラーやグロテスク、官能表現が多い乙女の本棚より幻想的な物語のラインナップなのが印象的です。浅学ゆえこの物語を読むのは初めてでしたが、今の時代だからこそ読みたいお話で、イラストレーションが視覚的に大変効果的な作品だった。戦争がこの世界から無くなりますように。そう願ってやみません。2025/07/13
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