内容説明
「泣く子はいねが~」「なまけ者はいねが~」毎年大みそかの夜、秋田県・男鹿半島の家々に、「なまはげ」がやってきます。ユネスコ無形文化遺産に登録された伝統行事「男鹿のナマハゲ」。なまはげの正体とは?そして、その由来とは?
著者等紹介
池田まき子[イケダマキコ]
1958年秋田県生まれ。オーストラリアの首都・キャンベラに30年在住後、2018年、仕事の拠点を秋田市に移す。小中学生向けのノンフィクションを主に手がけ、代表作に『クニマスは生きていた!』(汐文社/第64回青少年読書感想文全国コンクール課題図書)、『自由への道 奴隷解放に命をかけた黒人女性ハリエット・タブマンの物語』(学研プラス/第53回緑陰図書)などがある
早川純子[ハヤカワジュンコ]
1970年、ひっくりかえる版画の世界を探索しに、東京に生まれる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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アナーキー靴下
54
なまはげって有名だけどどんな由来があるのかは聞いたことがないな、なんて思っていたところに、ちょうど読メでこの絵本を見つけ読んでみた。表紙のインパクトに負けない、力強く魅力的な版画で語られるのは、不幸な鬼たちの物語。まさかそんな話だったとは…。何らかの実話ベースであれ、作り話であれ、ずるいこと、悪いことをしてしまった後悔を伝承し続ける、ってどんな心持ちなんだろう。それを秋田生まれの著者が語り継ぐ。秋田の人のなまはげへの想いの深さははかりしれない。単純に悲しい、可哀想、だけではない、複雑な気持ちが残る絵本。2021/03/27
ヒラP@ehon.gohon
31
なまはげがユネスコ無形文化遺産に選ばれたことも、その由来も初めて知りました。 男鹿半島に連れてこられ、人々のために働き続けた5人の鬼たちは、ぞの異形のために恐れられたけれど、神様のような存在だったことに感動しました。 一夜にして千段の階段を作ろうとする村人たちの条件を、残り一段でやり終えることができなかった無念さはいかばかりでしょう。 そのような由来だから、伝承として絶えることのない行事なのかも知れません。2021/04/01
canacona
23
なまはげのお話。1000段の階段を作る村人との勝負は知ってたけど、その前、海外からやってきて、置き去りにされて行った家族だったとは知らなかった。鬼ヶ島の鬼と一緒で、渡来人だったんだろうなぁ。後から神様に祭りあげるくらいなら、仲良くできてたらよかったのにとは思うけど、島国の民族では、外見が違うっていうのは大きかったんだろうなぁ。追い出した鬼が年に一度降りて来るってことは、距離を置いてそれなりに交流して暮らしていた、ということなのかな。とっぴんぱらりのぷう。2021/06/28
ふじ
21
諸説あるナマハゲの由来から、大陸から来た王のしもべである鬼説を絵本にしたもの。石を積ませる話は他国の神話でも読んだから、昔から伝わる話には共通項が感じられ興味深い。とはいえナマハゲ可哀想だな…個人的には解説にあった「いろりにあたってばっかりの怠け者にできた“なもみ“をはぐ奴」説が初耳だけど説得力があり好き。2022/03/27
ベル@bell-zou
21
働き者だった鬼たちがその恐ろしい姿の為に下りた村で恐れ嫌われ傷心するがそれが怒りに変わり村で大暴れ。偽物の一番鶏の声にだまされて村人との約束にあと一段を残して石段を完成できなかった鬼たちは山へと消えた。だましたことをうしろめたくおそれた村人たちは大晦日に雄たけびをあげながら山から下りてくる鬼たちをもてなすようになったという。「なまはげ」の由来は諸説あるらしく、実際私が父からきいたことと違い、このお話は漢の武帝が鬼を連れてきた伝説を基にしているそう。けれども「怠けるな」ということは同じ。真面目で正直に。2021/12/31