内容説明
駅は不思議なところです。喜びや悲しみ、駅を行きかう人々の、ハローとグッドバイの物語が、駅舎の壁に刻まれて、足を踏み入れたとたんに、あなたもわたしも物語の主人公になるのです。これは、いまからおよそ三〇年前の、大きな駅を舞台にしたおはなしです。学校だいきらいの小学生・真名子が駅で会ったのは…。それでは、みんなで旅に出かけましょう。
著者等紹介
中澤晶子[ナカザワショウコ]
1953年、名古屋市生まれ。1991年、『ジグソーステーション』(絵:ささめやゆき、汐文社)で野間児童文芸新人賞受賞。日本児童文学者協会会員
ささめやゆき[ササメヤユキ]
1943年、東京生まれ。1985年、ベルギー・ドメルホフ国際版画コンクールにて銀賞、1995年に『ガドルフの百合』で小学館絵画賞、1999年に『真幸くあらば』で講談社出版文化賞さしえ賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆみねこ
65
中澤晶子さん、初読み。30年前の大きな駅を舞台にした物語。歴史ある駅ならば色々な物語が潜んでいそう。児童書ですが大人もぜひ。2019/06/11
はる
63
駅には様々な人の想いが宿る。最初はドタバタな感じなので、終盤になってこんなにも切ない物語になるとは思わなかった。深い余韻を残す素敵な作品。大きな賞を取ったというのも肯ける。主人公は学校に馴染めず駅で過ごす少女。初めはかなりぶっ飛んだ性格の少女が、不思議な体験をすることで成長していく姿も良かった。2019/05/04
ぶんこ
48
東京駅を舞台にした切ないファンタジー。母子家庭で学校嫌いの帰国子女の小学生が、毎日のように学校帰りに途中下車して駅構内で2じかんも過ごす。そこから始まる不思議世界。戦後間もない駅にたむろする戦災孤児の一人と、駅を居場所とするホームレスが兄弟だった。行方不明の弟が持っていたヴァイオリンケースが、最後には本来の持ち主のマーガレットさんに返される。真名子ちゃんの味わった飢えた子供たちの世界が、将来の彼女にどんな意味を持つのか知りたくなりました。2019/05/23
mntmt
18
人が行き交う駅。それだけで、ドラマが生まれる。2019/04/13
みとん
10
2019年度の高学年の読書感想画指定図書。30年ほど前の東京駅のお話。電車通学のわけあり小学生のマナコは、東京駅をフラフラしてから帰るのが日課。「支店長」と呼ばれる浮浪者と知り合いになり、よく会うようになった。ある日、マナコは白ねこを追いかけて戦時中の東京駅に。ヴァイオリンケースを持った浮浪者の男の子と知り合う。元の時代にもどってその話をしたら、支店長の態度が変わり・・・。ウォークマンとか、今の子はわからないだろうな~。私もアルファルファは調べた(笑)イメージ色は暗いけど、不思議なお話だった。2019/06/04