内容説明
奇跡の魚・クニマスが私たちに問いかける「命のつながり」とは…。最後のクニマス漁師だった三浦久兵衛さんと、久さん親子の姿を通して描いた、感動の物語。
目次
田沢湖で遊ぶ子どもたち
語り継がれてきた「辰子姫伝説」
クニマス漁師になる決意
水力発電所を建てるという計画
湖に魚がいなくなった…
クニマスを追い求めて
懸賞金つきの「クニマス探し」
クニマス漁師としての責任
七十年ぶりの発見
田沢湖と西湖が「姉妹湖」に
クニマス養殖の取り組み
田沢湖の再生をめざして
著者等紹介
池田まき子[イケダマキコ]
1958年秋田県生まれ。児童書ノンフィクション作家。オーストラリアの首都・キャンベラに在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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へくとぱすかる
86
秋田の田沢湖で絶滅した固有種のクニマスが、なぜ遠い山梨の西湖で生存が発見されたのか。最後の漁師であった三浦さんが、クニマスを守れなかった悔いから探求を始めて、ついに70年ぶりの発見にいたる。戦前の国策による環境破壊が、取り返しのつかない事態を生み、今も田沢湖はクニマスを里帰りさせられない酸性度であり、しかも当初の目的の農業用水としてもイネへの害があり、収穫が減少したという。開発のために自然を破壊するのは、すぐに止めるべき。環境問題は日本だけではなく、世界的な問題。生きていてうれしい、で終わってはならない。2021/05/24
☆よいこ
55
中学1年国語教科書(光村図書)『幻の魚は生きていた』(中坊徹次)に関連して紹介。田沢湖で代々クニマス漁を営んできた三浦久兵衛さんの幼少時代からはじまるクニマスの絶滅と再発見の物語。「辰子姫伝説」も興味深い。▽児童書、小学校高学年から読める。読みやすい。釣りキチ三平が読みたくなった。2018/09/27
とよぽん
46
幻の魚、クニマス。中学校の国語の教科書にも載っている。説明的文章だが、クニマスが西湖にいたことが分かった文を読んだとき、生徒たちが感動した。現在の田沢湖は、環境破壊前にクニマスがいた元の環境に戻っているのだろうか。人間の生活と自然との共存共生は、難しい。人間はもっと謙虚にならなければ。2018/03/21
こぺたろう
30
いやー、面白かったです。秋田県田沢湖にしか住んでいなかったクニマス。戦時のダム計画に伴い、毒水と言われた玉川の水(非常に強い酸性)を導入、これにより田沢湖からクニマスはいなくなった。しかし、発眼卵が移植されていた山梨県西湖で、奇跡的に今も生き延びていることがわかる。本書は児童向けのようですが、一連の流れがわかりやすく書かれていて、大人が読んでも勉強になると思います。とてもわかりやすいのですが、西湖での発見に貢献した、さかなくんへの言及が全くないのには違和感。2018/09/27
のり
23
課題図書高学年。田沢湖で絶滅したクニマスを懸命に探す漁師さんの話。発見のくだりって、さかなクンの事は書いちゃいけない取り決めでもあったのかな?とは素朴な疑問。さかなクンがいた?ほうが子供達、飛びつきそうなのにね。2018/07/07