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著者等紹介
東雅夫[ヒガシマサオ]
1958年、神奈川県生まれ。アンソロジスト、文芸評論家。元「幻想文学」編集長で、現在は怪談専門誌「幽」編集顧問。『遠野物語と怪談の時代』で日本推理作家協会賞を受賞
谷川千佳[タニカワチカ]
1986年、富山県生まれ。神戸大学発達科学部卒業。専門学校の講師などを経て、2014年よりフリーランスとして活動。日常で感じる想いに物語を加え、記憶などをコラージュ的に再構成し、主に人物(女性)画を通して表現している。大阪、東京を中心に個展やグループ展で作品を発表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
91
既読多し。恋というには綺麗なものだけではない。人の条理とは異するものや己が欲望に忠実なもの、それでも受け止めるものや叶える為には大切にしていたものすら犠牲を厭わないという盲目性すら孕む混沌さが恋なのだ。「月ぞ恋」の最期の手紙で分かるスーザの願いとそれを踏み躙る男の対比が恨めしい。註が意味だけではなく、同作者の他の作品との関連性も示しているのが何とも心憎い。『鯉の巴』は須永朝彦氏編纂の原作を読んでいるだけに明け透けな表現に吃驚。そして『菊花の契り』と『影の狩人』が堂々と収録されているのが時代を感じます2018/11/17
mocha
91
川端康成「片腕」江戸川乱歩「押絵と旅する男」は何度めかの再読。「片腕」のエロティシズムには何度読んでも唸らされる。晩年おじじになってこんなことを妄想してたのか!泉鏡花の不思議体験「幼い頃の記憶」。佐藤春夫「緑衣の少女」小田仁二郎「鯉の巴」の人ならぬものとの恋。ゴジラ作家香山滋の魔の世界、中井英夫「影の狩人」の妖しさ。どの作品も世界観に引き込まれ、幻惑されるようだった。幻妖チャレンジ!として原文で掲載された「菊花の約」は中高生でもある程度は読み取れると思う。古典のリズム感を味わえて楽しい。2018/08/10
ちょろこ
55
色とりどりな恋、の一冊。あれも恋、これも恋…たぶん恋…っていうぐらい色とりどりな恋ストーリーの数々。不思議さも艶っぽさも怖さも全部ひっくるめて、これが恋なのか。ジュニアセレクションだけあって、かなり読みやすくとっつきやすかった。やっぱり一番インパクトがあったのは「片腕」。美しい日本語と文章でつづられるかなりぶっ飛んだ恋の世界に思わずため息吐息…。2017/06/18
マリリン
44
幻想的な世界が描かれたような怪談集。谷川千佳の耽美的な絵もよい。『幼い頃の記憶』(泉鏡花)は著者独特の世界が好き。『緑衣の少女』(佐藤春夫)・『鯉の巴』(小田仁二郎)は印象深い作品。『片腕』(川端康成)は狂気を感じた。日本の情景を耽美に描く氏の違った側面を見たような気がした。読みたかった『押絵と旅する男』(江戸川乱歩)の作品は中学生の頃図書館で読み漁った頃から古い洋館の香りを感じる。どこで嗅いだものなのか不明。他に『月ぞ悪魔』(香山滋)・『影の狩人』(中井英夫)・『菊花の約』(上田秋成)。2020/11/29
モモ
43
佐藤春夫『緑衣の少女』緑の衣を着た、たおやかな少女と愛し合う若者。人ではないとおもいつつ、少女の正体に驚く。小田仁二郎『鯉の巴』鶴女房ならず鯉の女房。ひんやりとした鯉の巴ではなく、人間の女の温かさを求めた男。川端康成『片腕』少女の片腕の描写が秀逸。いつしか娘の片腕は意志を持ち会話を始める…。香山滋『月ぞ悪魔』好きになった女の秘密に仰天。作りかえられた体。江戸川乱歩『押絵と旅する男』不気味な押絵の細部には…。愛する女は年をとらず、自分だけ老いていく男の悲哀。なかなか忘れがたい話の数々でした。2022/08/07