内容説明
第二次世界大戦中のドイツは、ナチスという独裁政党によって支配され、ユダヤ人はユダヤ人というだけで激しく迫害されていました。そんな時代に、ユダヤ人を守ろうと命がけでたたかった人―それが、目の見えないオットー・ヴァイトでした。これは、ヴァイトに命を救われたユダヤ人の作者が伝える、恐怖と勇気にみちた真実の記録です。
目次
１ オットー・ヴァイトとの出会い
２ さあ、もう一度
３ 盲人作業所の仕事
４ 希望と心配
５ 裏切り
６ 終戦
著者等紹介
ドイチュクローン，インゲ［ドイチュクローン，インゲ］ ［Ｄｅｕｔｓｃｈｋｒｏｎ，Ｉｎｇｅ］
１９２２年、ドイツ生まれのユダヤ人女性。第二次世界大戦中、オットー・ヴァイトの助けにより、戦時下のベルリンで生き延びた。数少ないホロコーストの生存者としてドイツでは著名な存在で、証言活動を続けている
リューゲンベルグ，ルーカス［リューゲンベルグ，ルーカス］ ［Ｒｕｅｇｅｎｂｅｒｇ，Ｌｕｋａｓ］
１９２８年、ドイツ生まれ。ドイツの著名な画家・版画家カール・シュミット＝ロットルフの弟子であり、マリア・ラーハ・ベネディクト会修道院の修道士でもある。ホロコースト、反ユダヤ主義、宗教などさまざまな問題に取り組んだ本、絵本を描いている
藤村美織［フジムラミオリ］
東京都生まれ。学習院大学文学部ドイツ文学科卒業。１９８３～１９９１年に日本ＤＤＲ（東独）文化協会に勤務し、その後フリーで翻訳に携わる（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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モリー
61
真の勇気とは、オットー・ヴァイト氏のような人物を形容する言葉なのではないだろうか。ベルリンで、したたかに、諦めることなくナチスと戦った真実の記録。2020/03/28
Nobuko Hashimoto
37
WW２下のベルリンで、ナチが抹殺の標的にした盲人やろう者やユダヤ人を自身の経営するブラシ工場に雇用し、隠れ家に匿い、何度も窮地から救った人物の伝記。彼自身、輪郭がわかる程度の視力しかなかったが、表と裏の商売を精力的に展開する。強制収容所に連行された従業員たちには物資を送って支援した。著者はヴァイト氏に救われたひとりで存命。本書の1/3は写真や見取り図、関連年表等の資料集。ヴァイト氏に関する書籍や論文は意外と少ない。より詳しい書籍が欲しい。工場だった場所は現在、博物館に。以前は逃したが、次回は絶対入ろう。2020/03/07
たまきら
29
先日絵本で知ったこの民間人の事を知りたくて、こちらも手に取りました。写真をはじめ多くの資料が紹介されています。また、巻末のユダヤ人に当時のドイツが課した数多くの理不尽で執拗な条例には呆然としました。それでも、その理不尽さに抵抗しようとした人たちがいる。自分にできる精一杯のことをした人たちがいる。自分は人種差別が嫌だ。そういうだけでも流れを変えられる。だから言い続けないといけない。2020/12/25
Cinejazz
8
ホロコ－ストで生き残ったユダヤ人女性が､ナチスに立ち向かった盲目のドイツ人｢オット－･ヴァイト｣を讃え､その偉業を後世に伝えるため出版した絵本版『パパ･ヴァイト』に続く本書は､ベルリンの＜オット－･ヴァイト盲人作業所博物館＞に所蔵の豊富な歴史資料が併録されています｡絵本版になかった恩人パパ･ヴァイトや著者インゲ･ドイチュクロ－ンの画像の数々は､時間と空間を越え現代社会に訴える真実の記録として強烈なインパクトで迫ってきます｡2021/07/11
おーうち
8
感動。巻末に集合写真があるけど、みんな死んでいったんだなと感慨深く。オットーさんはパパと呼ばれながら、目が見えないまたは耳がわるい従業員たちの生存を助けてくださった。ゲシュタポをあざむくために見えない(実在しない)従業員を叱り付けてみせたり。連行されてもみんなを連れ戻したり。たまには短気になることもあったようだけど、みんなにはわかっていた。どうしてここまで愛の技ができたのだろうか。自分にも大切な考え方を教え届けてくださいました。2020/06/30
