内容説明
30有余念にわたる政財界の福祉戦略を分析―。福祉政策を貫く「価値福祉」とは何か?「日本型福祉社会」の実相と国民生活の将来像に迫る。
目次
序章 社会福祉理念の研究にあたっての前提(研究の視点と研究対象の限定;社会福祉の抜本的変化に関する先行研究;福祉国家、福祉社会に関する用語の検討)
第1章 日本における福祉国家と福祉社会(20世紀日本における社会福祉制度の歴史;日本における福祉社会論の二つの系譜)
第2章 新しい福祉概念=「価値福祉」と総合政策研究(体制危機と日本経済調査協議会による福祉概念の研究;「社会連帯」にもとづく新たな社会福祉戦略;「価値福祉」とNIRA「21世紀への課題」プロジェクト)
第3章 福祉社会の構築と地方自治体の役割(自由民主党『日本型福祉社会』と1980年代の行財政改革;『新経済社会7ヵ年計画』と「日本型福祉社会」概念の確立)
第4章 21世紀における福祉社会と生活問題(『社会保証制度の再構築(勧告)』と21世紀の社会福祉
社会福祉基礎構造改革の歴史的位置とその役割
21世紀の国家像と新たな福祉理念の意味)
著者等紹介
永山誠[ナガヤママコト]
現職、昭和女子大学人間社会学部教授。1971年早稲田大学社会科学部卒業。2005年長崎純心大学大学院人間文化研究科人間文化専攻博士(学術・福祉)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆう。
5
この本では、1970年代前半まで日本は福祉国家政策がとられてきたと評価し、それ以降の新しい福祉概念として「価値福祉」を抽出し、日本型福祉社会論を考察している。「価値福祉」とは戦後確立した「生存権としての社会福祉」にとって代わり、「社会連帯」と国家責任の後退、新たな価値体系に基づく国家秩序維持体制の社会福祉である。要するに国家財政から自立させながら、住民統合のあかしとしての「社会連帯」を立てようという社会福祉理念なのである。本著は、21世紀の社会福祉を考える上で、重要な論点を多く提示してくれている。2014/02/05