感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ほんままこと
10
『男流文学論』で言及されていたため読む。男女の共犯関係、共演によって一人の女が狂気に追い詰められるという『死の棘』に似たものが高村光太郎と智恵子の関係にも見出さるという1985年の論考。智恵子は日本女子大2回生の近代と共に歩み始めた才能溢れる女性だったが、光太郎は彼女の才能を封印し、自分の理想に従って生きるようにしむけ、実破産破産によって智恵子は統合失調症となる。筆者は光太郎作の智恵子の首の像を見て異様な印象を受け、智恵子抄は愛の詩集どころか一種の首狩りの書ではないか、と評する。たしかに詩は主観的だ。 2022/12/01
moyin
7
田村俊子の延長線で読んだ。読みながらじっとしていられない一冊。智恵子の悲劇は二人の最初の出会いから、「近代」と二人の性格によって定められたのだ。2023/01/27