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内容説明
スイスの、とある森の中で、少女の刺殺体が発見される。警部マテーイは、被害者の母親に、犯人の逮捕を“約束”し、すべてを投げうって捜査に邁進するが…20世紀スイスを代表する劇作家デュレンマットが生の半ばにして世に問うた小説。殺人事件解明の息もつがせぬ展開の背後には人間存在というものの悲哀が色濃く漂っている。
著者等紹介
平尾浩三[ヒラオコウゾウ]
中世ドイツ文学・ドイツ語史専攻。東京大学教授、慶應義塾大学教授、日本橋学館大学教授等を歴任。現在:東京大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まふ
106
ハヤカワミステリで読む。思いがけない傑作に巡り逢った気がする。コンパクトな作りなのに内容は濃く無駄がない。物語はスイスの山村での少女惨殺事件の顛末であるが、担当警部の執念とその執念をあざ笑うかのような結末が全く意表を衝くものであった。映画「プレッジ」の原作だそうだが読後感を壊さないためには映画は見ない方がいいと思えた。僅か200ページではあるが中身が濃く、P・D・ジェームズ女史をはじめ全ての推理作家に「ホントウの推理小説とはこんなものだよ、解決なんかしないんだよ」と伝えてあげたいとさえ思った。G1000。2023/07/19
ドウ
4
20世紀スイスを代表するドイツ語喜劇作家が若手の頃に書いたミステリ(の未来)。この頃から彼の作品のほぼ一貫したテーマである「起こりうる最悪の方向転換」が物語を規定している。禁欲的だった主人公が突然タバコや酒を始めたのが唐突でよく分からないが、物語が進むに連れて誰しもが少しずつ不幸になっていくこのダークさが面白い。2018/02/21
あんも
3
出足から何となくラストを予告させるような感じ。幼い少女が殺され行商人が逮捕され過酷な取り調べで犯行を自供。そして警察で自殺。一件落着とはいかない。栄転が決まっていた刑事が職を捨てて再調査。しかしその捜査は実らない。おとり捜査までするが進展しない。刑事は廃人となる。やがて一人の老婦人が自分の夫が犯人だと自供。聞いた警部は絶句する。捜査は実らず人生は破たんし、だれもハッピーにならない。暗くてイヤミス。でも読んでしまう。不思議な本でした。昔、ハヤカワから出ていたらしい。2016/06/30
Э0!P!
1
推理小説というもの自体へのアンチテーゼだが、結局は一つの推理小説にとどまってもいる。遺族との約束を機に、未解決事件に執着し、のめり込んでいく。知らないうちに解決していたことがあとに明らかになるが、既に取り返しのつかない年月が過ぎ去っており、捜査官の人格は荒廃した後であった。2022/09/12
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