内容説明
(ナチスの意を体する)密告者や殺人者は、この町に彼らの死の掟、軽蔑の掟を押しつけようとして、どこか外からやってきたのではない。彼らは私たちと一緒に暮らしていた。この、夢見心地の、柔らかな田舎の町の住民だった。我々の住まいから、我々の皮膚の下から這い出してきたものたちだった。ナチ時代から東ドイツを貫いて現代までの問題を剔抉する話題作、原著刊行から三十年の年を経てようやく邦訳。
著者等紹介
津村正樹[ツムラマサキ]
1950年生まれ。1978年京都大学大学院修士課程修了。現在、九州大学大学院言語文化研究院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Fumihiko Kimura
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あとがきによれば、本書は85年に刊行された由。ある意味「東独告発の書」(その手法は誠に巧妙ではあるが)とも言える本書が、1年延びたとは云え、ホーネッカー治世下の旧東独で刊行されていたという事実に驚く。複数の話者がホルン氏の死を巡って独白するという形式も興味深い。結局一夜で読み上げてしまった。2017/08/21
NZR
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読後もそれなりに面白かったのだが、訳者あとがきを拝読して東独の事実上の「検閲」を擦り抜けた暗喩、隠された批判精神に驚嘆。2016/05/15
うんの
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さまざまな厳しくて寂しい人生がある。2015/03/24