出版社内容情報
2009年生誕250周年の人間シラーを描出
本書は、ドイツ古典主義時代を扱ったものとしては異例の成功をおさめた『クリスティアーネとゲーテ』(1998年)に続き、2004年、ふたたびドイツでベストセラー・リストにあがった著作である。著者は文学研究者として膨大な資料を正確に読み解きながらも、作家としての感受性を充分に生かして、親しみやすい文章でいきいきと人間シラーを描く。
ワイン、煙草、コーヒーに目がない浪費家で、次々に借金返済と仕事の期限に追われるシラー、息子自慢の父母の人生、愛憎半ばするゲーテとの関係、恋多き日々と市民的結婚、生涯続いた病気の詳細など。「作品がすべて」というのがシラーの信条だが、著者は「シラーにおいては作品と生はほとんど同一」なので、作品が生み出される「仕事の日々」を描き、シラーの人と作品を現代の読者に届けたいと述べている。
内容説明
生誕250周年、親しみやすい文章でいきいきと人間シラーを描く。
目次
シラーについて書く―
シラーの作品を読む―
マンハイムにおける『群盗』の初演、「一人の若い男が現れて、その第一歩で戯曲家の長蛇の列をあっという間に追い越してしまった」―ヴュルテンベルク君主による拘留刑と執筆禁止令―シュヴァーベンからの逃亡―
「脱走兵」―偽名での潜伏―借金と窮乏―テューリンゲンの庇護者、流謫の地バウアーバッハ―
マンハイム、「私が日々活動する劇場こそ、私にふさわしい場です。それに幸いなことに、私の情熱は私の仕事でもあるのです」―『たくらみと恋』、『フィエスコ』―窮乏―女性たちとのかかわり、シャルロッテ・フォン・カルプへの愛―ワイマル公臨席のもとダルムシュタット宮廷での朗読―劇団員との衝突、フリックヴォルト事件―座付き作家を解任される―「牢獄」マンハイム、「ここでは地平がうっとうしく僕を圧迫する」
「ライプツィヒからの小包」、後援者クリスティアン・ゴットフリート・ケルナー―ライプツィヒへの旅、見本市の街での滞在―頌歌『歓喜に寄す』―ドレスデンに移住―「四人グループ」―恋愛沙汰―タラント村、『ドン・カルロス』完成―
ワイマルに到着―カルプ夫人との再会、「シャルロッテは、僕たちが十月には一緒になれるだろうという希望に満ちている」―「公爵、ゲーテ、ヴィーラントとヘルダーの欠けたワイマルは、何とつまらない所だろう」―
南テューリンゲンへの冬の騎馬旅行―マイニンゲンの姉クリストフィーネを訪問―バウアーバッハ滞在、「孤独な僕にとってあの頃には興味深く思えた場所のどれひとつからも、今はもはや何の感銘も受けなかった」―
「結婚計画」、「僕は市民的で家庭的な暮らしに憧れている」―市場の法則に沿った道、歴史への傾斜と「経済的文筆業」―
裕福な女性求む、「もし君が(中略)一二〇〇〇ターラーの持参金付きの女性を世話してくれることができるなら、(中略)そうしたらイエーナ大学なんかはくそ食らえだ」―レンゲフェルト姉妹との出会い、「あなた方は私の魂の一部なのです」〔ほか〕
著者等紹介
中村元保[ナカムラモトヤス]
1958年大阪大学文学部卒業。1989年大阪大学文学部教授。1999年梅花女子大学教授(児童文学科)。2001年梅花女子大学学長。大阪大学・梅花女子大学名誉教授
渡邊洋子[ワタナベヒロコ]
現職:大阪学院大学経済学部教授。1963年大阪大学文学部卒業。1980年大阪大学文学部助手。1988年大阪学院大学経済学部助教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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