内容説明
内面を覗かれるくらいなら誤解されたままでいたいと考える主人公を襲った一瞬の波紋。現代ドイツ文学を代表する著者の初の翻訳。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
龍國竣/リュウゴク
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これは一つの青春小説である。二組の夫婦、子供すらいる彼らの、性生活をあっけらかんと語り合う姿。しかもそれはまさに衰え始めようとしている。しかし、ヨット上でのクライマックスに彼らの若さがみえる。ニーチェ、ワーグナーなどドイツの偉人の名が散りばめられる。ドイツの作家だが、博士論文で『ある形式の叙述―フランツ・カフカ試論』を書いて以降、「私の最大の重荷はカフカだった。彼は私に書くことを妨げたばかりではなく、生きることをも妨げた。私は何年も他の事に従事できなかった」と述懐するほどカフカの影響下にあった。2013/12/03