出版社内容情報
日本三大随筆のひとつ『方丈記』を、18世紀末に描かれたとされる「方丈記絵巻」と合わせて掲載。疫病、火災、地震などの中、長明が至った無常観が、生き生きとした画の描写とともに伝わり、戦禍、コロナ禍、気候変動などに生きる現代に訴えかける。『方丈記』自体を紹介する本編に加え、巻末には『方丈記』および絵巻の解説を添える。
目次
序章
安元の大火
治承の辻風
治承の都遷り
養和の飢饉
元暦の地震
人間生活の苦しみ
方丈の庵
庵での生活
たどり着いた境地
終章
著者等紹介
田中幸江[タナカユキエ]
埼玉県生まれ。二松學舎大学文学部国文学科卒業、専修大学大学院日本語日本文学専攻博士後期課程修了(博士“文学”)。現在、二松學舎大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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六点
104
師友EMI様よりの御紹介。教科書で学んだ古典を、まともに通読した事って無いなあと思いつつ、読み始める。三康図書館所蔵の『方丈記絵巻』だから本文のビジュアルイメージもとても掴みやすい一書である。六点は学生時代、ふと思い立って石山寺から岩間寺、日野法界寺と、長明の散歩道を一日がかりで歩いたことがある。日野の里まで下ると「鴨長明方丈跡」の駒札が立っており驚いた。狭くてジメジメしているんで、余り住みたいとは思わなかった。そんな昔の事を思い出した。趣が深くなる秋であることだよ。2022/10/04
なお
24
『方丈記』は鎌倉時代初期(1212)に書かれた原稿用紙25枚程の随筆。比較的短く読み易いし、原文に添う形で絵巻がついているので目でも楽しめた。鴨長明は下鴨神社の禰宜の子として生まれる。しかし父親が35才で亡くなり、下鴨神社の摂社の禰宜職を親族によって阻まれ、出家の道を選んだと言う。その経験が庶民目線で大火、辻風、飢饉、地震、遷都の厄難を伝え、終の栖(すみか)となる方丈の庵〔四畳半〕での簡素な生き方を記す『方丈記』に繋がっている。無常観の中でも山里の暮らしを楽しむ健康的な生活は、手本にしたい事が沢山あった。2023/04/05
クボタ
24
高校時代にさわりの個所を古文の授業で勉強したがそこだけしか覚えていなかった。改めてこの本を取って鴨長明が少しわかった気がする。源平の世の中だったろうがそのあたりの政治的なことは出てこない。隠遁生活をしながら火事、台風などの自然災害で世の中がどうなった等書かれており、当時の生活状況が絵巻を見ながら理解できた。2022/10/18
kazu4
9
『方丈記』久しぶりに読んだ。でも、若い頃と比べると、だいぶ受け取り方が違ってきたなあと思う。「分かる」っていう感性が増えてきた。 「そもそも、この迷いの世は、すべて自分の心によるものだ。」「魚は水に飽きない。魚でなければその気持ちはわからない。」なるほど❗️2022/09/14
Hiroko Hiwada
9
そういえば「方丈記」ってどんな内容なんだろうと思い、手にとった。教科書で名前だけ知っていた「方丈記」そして「鴨長明」を知ることができて嬉しい。とても読みやすく、わかりやすかった。2022/08/21