出版社内容情報
「近代」が立ち上がるとともに活況を呈した20世紀の美術運動。その難解さを噛み砕き、美術ファンでなくてもわかるようエッセンスを紹介。そこでの「青春」をかけての苦闘から、混迷する現代をサバイバルするヒントを探り出す。
内容説明
モノマネ、迎合を吹っ飛ばせ!アートが社会を救うのだ!現代の危機・病を解決する、希望の芸術家たちを見よ。
目次
近代とアート
アーツ・アンド・クラフツ運動
アール・ヌーヴォー
ウィーン世紀末
キュビズム
ロシア構成主義
アール・デコ
ダダイズム
アウトサイダー・アート
コンセプチュアル・アート
デ・ステイル
バウハウス
シュルレアリズム
抽象表現主義
「人間回復」を目指すヒューマニズムとしての「ポストモダン」
著者等紹介
新見隆[ニイミリュウ]
1958年広島県尾道生まれ。慶応義塾大学文学部仏文科卒。専門は美術史、デザイン史、美術館・博物館学。セゾン美術館学芸員をへて、武蔵野美術大学造形学部教養文化・学芸員課程教授。元大分県立美術館館長。アートビオトープ那須キュレーター。イサム・ノグチ庭園美術館学芸顧問。慶應義塾大学アート・センター訪問所員。パナソニック汐留ミュージアム「ウィーン工房1903‐1932―モダニズムの装飾的精神」展(2011年)の企画監修によって「第7回西洋美術振興財団賞・学術賞」を受賞。アーティストとして個展も多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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yyrn
24
20世紀の「前衛芸術」には馴染みがなく、何が良いのかよくわからないというのが本音で、しかも自分よりも歳上(著者)に「前衛」を語られてもなと思いながら読み始めたが、あにはからんや、なかなか面白くて、20世初頭の最後の様式美「アール・デコ」から現代につながる「美」の変遷がよくわかり勉強になった。権威や近代資本主義への反発が(美の世界においても)大きな原動力になってきたんだな。眼を開かされた思いだ。▼アーツ&クラフツ運動⇒アール・ヌーヴォー⇒ウィーン世紀末⇒キュビズム⇒ロシア構成主義⇒アール・デコ⇒ダダイズム⇒2023/01/07
あうる
4
果たして本を読むのを許されているのだろうか。20世紀はきれいな時代ではなかった思う。しかし文化は非常に爛熟したものがあたった。この上辺だけで、薄い世の中に20世紀とはいかなるものか?それでももはや汚泥にのめり込むことはあできまい。とはいえ、現実、SNSは汚泥そのものだが。(無邪気に戯れる醜悪さ)2024/09/15
kaz
2
大きな流れは理解していたつもりだが、文中の人物でよく知らない人が出てくると、混乱してしまう。専ら資料と見出しで流れを追い、興味を持てたところのみ読んだというレベル。図書館の内容紹介は『芸術の根源には、「恐怖」があり、「病」が原点。それを芸術家たちがどう受け入れ、乗り越えたか。「アーツ・アンド・クラフツ運動」「キュビズム」「シュルレアリズム」などをテーマに20世紀美術を軽快に論じる』。 2023/04/28
zuisei
1
アートというのはどのような現象なのか、20世紀に現れたアートの潮流を分析しながら語っていく。 アートというのは、時代の思想とか社会情勢に大きく影響され、またそれを先導している。 そんなことがよくわかった。特に、アインシュタインの相対性理論が ピカソの絵画に関わっているというのは、なるほどと思わせる。 アートとは、世界の見方を表現するものだからだ。 評価52023/10/07
コバ
1
近代のアートについて、「前衛」を「青春」と言い換えて解説している。 いつの時代でも、芸術は世の中に対する問題提起をしている。 とはいえ、作品とは作者が背後に隠した謎のことではなく、観客との間に生まれる出来事である。 もちろん前者のような鑑賞も時には大事であるが、あまりしばられずに自分が作品をどう見てどのように感じるかということを意識してみるのもいいかもしれない。 いつだって芸術に触れるときには「あなたは、いかに生きたいか?」を意識していきたい。2023/03/11