出版社内容情報
日本のみならず国際的にもアイヌ文化に対する関心が高まるなか、アイヌ民族が日々のくらしのなかで制作し、使ってきたさまざまな「もの」を通して、その「造形」をみつめ直す入門書。
目次
第1部 アイヌ民族の歴史(民族としての歴史;アイヌ文化の地域性;精神文化;日々の暮らし;特集:アイヌ絵)
第2部 アイヌ民族の美術(概説:アイヌ文化と美;鑑賞の要;素材;特集:チカラカライミのいわれ;立体 ほか)
著者等紹介
山崎幸治[ヤマサキコウジ]
1975年福岡県北九州市生まれ。北海道大学アイヌ・先住民研究センター准教授。専門は、文化人類学、博物館学。博物館資料の現代的意義とその活用に関心を持ち、アイヌ物質文化および博物館に関する研究を行う。先住民族の展示、アイヌ工芸の振興、海外アイヌ・コレクションについても研究を行う。博物館展示「teetasinrit tekrukoci先人の手あと 北大所蔵アイヌ資料―受けつぐ技―」(北海道大学総合博物館ほか、2009年)、アイヌ民族文化財団(前アイヌ文化振興・研究推進機構)のアイヌ工芸品展(2010、2011、2014‐2022年)、国立民族学博物館アイヌの文化展示リニューアル(2016年)、国立アイヌ民族博物館基本展示(2020年)などに企画委員として関わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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ふう
26
民藝にも通じる実用の美と、カムイへの祈りの道具。厳しい自然環境にあって、本州から持ち込まれた漆器や木綿も大切に使い、男性は道具作り・木彫、女性は織り・編み・刺繍に優れた技を施す。チカラカライミのいわれで、根元を焼かなかった柱を虫たちが食い荒らした痕を素晴らしい模様だと驚き、着物の模様としてその村だけでこっそりと伝えてきた!…天から役割なしに降ろされたものはひとつもない。…何とも素晴らしいエピソード。貝澤徹「アイデンティティ」、貝澤幸司「幻想」。現代の作家も何と素晴らしいこと。2022/05/18
shiho♪
18
図書館本。美術というより、民藝に通じる美しさ。アイヌの人たちの深い精神世界がそのまま暮らしの道具や祈りの道具として表れている。 こちらを見てから白老町のウポポイへ。実物を見ると厳しい環境のもと、美しい手仕事に驚きとため息が出た。樹皮で編んだ衣服(アットゥシ)は実際に編んでいるところを実演で見させて頂いた。そして鮭の皮で作った靴!ヒレの部分は必ず靴底に。何故かというと…滑り止め!息子も驚いていました。 ウポポイでは今もその伝統を継ぐ現代作家さんの紹介がされていた。伝統の保存や知ってもらうこと、大事ですね。2024/08/03
遠い日
11
「アート・ビギナーズ・コレクション」シリーズ。全くの初心者向けでありながら、結構深いところまでカバーしているので頼りになります。独特の意匠で印象的なアイヌの美術。本当は文化、歴史抜きには語れないので、鑑賞の「眼」で見ることはちょっとベクトルが違うかもしれないけれど、個人的に非常に惹かれるものがあって、手にする。様式美、カムイ、民藝、祈り。2022/05/08
ソバージュ
11
文化人類学者の著による歴史とアイヌ民族に寄って制作、使用された品々の解説書。蝦夷細工、儀礼で使用される品々、独特な衣服など写真に見入ってしまう。なぜか我が家に数々ある熊やアイヌ夫婦の彫り物に関しても納得いった。歌や踊りのページもあり「ウコウク」という歌唱法も興味深い。2022/04/29
乱読家 護る会支持!
5
世に存在する全てのものには魂が宿っている。魂は不滅の存在であり、カムイモシリなどと呼ばれる神々の世界とアイヌモシリと呼ばれる人間の世界を往復する。また、人間は魂それ自体を見ることができず、人間の世界にはある形や現象、肉体をともなって現れる。自らの生活と切っても切れない関係にあり、かつ人間が素手で立ち向かうことができないものをカムイとして敬い、祈る。どのようなものがカムイとされるかは、時代や地域、個人によって様々である。動物、植物、山、川、海、太陽、月、雷、火、水、道具、天候や伝染病などの病気もカムイ。2022/08/09
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