出版社内容情報
レオナルド研究の第一人者監修による「評伝+画集」の決定版。初版刊行後10年間の新発見や研究を盛り込み、巻頭16頁を増補・改訂
裾分 一弘[スソワケ カズヒロ]
監修
目次
第1章 修業時代(受胎告知;風景の習作(アルノ川の風景)
ジネヴラ・デ・ベンチの肖像
聖ヒエロニムス
三博士礼拝)
第2章 宮廷芸術家としての時代(岩窟の聖母;人体のプロポーション)
第3章 研究に打ち込む時代(白貂を抱く婦人;最後の晩餐)
第4章 晩年の時代(モナ・リザ(ラ・ジョコンド)
聖アンナと聖母子
洗礼者ヨハネ)
著者等紹介
裾分一弘[スソワケカズヒロ]
1924年岡山県生まれ。九州大学文学部美学・美術史科大学院を中退。学習院大学助教授、教授を経て、1995年同大学名誉教授。同時に安部能成学術賞を受賞。この間、東北大学、東京大学、北海道大学、慶應義塾大学等の非常勤講師、最高裁判所考試委員、ジェノヴァ大学客員教授等を歴任。2016年2月に逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
382
レオナルドがヴェロッキォの工房にいた時(20歳前後か)に描かれた『キリストの洗礼』の左下の2人(?)の天使(レオナルドの筆によるものとされる)を見ると、彼の卓越した技量と絵のセンスはもう一目瞭然である。また初期の傑作『受胎告知』が描かれたのも、レオナルドが弱冠20~23歳の頃だ。既にしてもう比肩するものもない。『モナ・リザ』、『岩窟の聖母』、『最後の晩餐』、『白貂を抱く婦人』(クラクフまで見に行った)などその後も世紀の傑作が続くのだが、残念ながら総点数はきわめて少ない。幸いにも多くの素描が残されているが。2021/02/13
ランラン
9
アイザックソンのレオナルドダヴィンチと合わせて読むと絵画の素人でも多少なりとも理解できる。ダヴィンチのスケッチ、メモなど多数残されていたことは奇蹟である。未完成の作品が多いとされているが数少ない完成品はどれも他の画家と違って抜きんでていることがよくわかる。2023/03/06
takakomama
6
この10年の研究の成果17ページ分を増補。増補分を熟読。まだまだ新発見も謎も多いです。「レオナルド・ダ・ヴィンチ没後500年夢の実現展」の予習と復習。2020/01/27
しろきいろ
6
図書館。ダヴィンチちゃんきてくれた記念に読んだ。予備知識0なのでほんと何もかもが面白い。防腐処理なんてない時代に他の画家が早々に音を上げる中何週間も「解剖学」するんだよな…少し想像するだけでもすごい。訴訟を起こされたり求職活動で自分を売り込んだりミケランジェロにケンカ売られて凹んだり苦労人だし。「彼が描きたかったのは目じゃなくてまなざし」という解説の一文はあまりに深い。だまし絵のアルチンボルドもレオナルデスキだって!8000ページの手稿についてもっと詳しく知りたくなりました。2019/06/22
M
5
レオナルドは絵画史上初の風景をモティーフとした素描ではあるが習作を残したこと、最後の晩餐でのユダを含め斬新な構図、そして壁画にフレスコ技法ではなく油性テンペラで描くという表現のみならず技法においても、探求と挑戦を続け、そして、その透徹した自然科学の眼差しは防腐剤もないなかでの何日にも及ぶ解剖作業によっても培われ、当時の宗教世界の中で生きている者には畏怖を感じさせたであろう。レオナルド自身は世界の終末とは神が審判を下すものではなく、自然の猛威によって地球が破滅し、人類が滅亡することだと考えていたという。2020/01/15