目次
序章 神童、米邨―0~14歳
第1章 若き南画家―15~22歳
第2章 新しい画風への模索―23~38歳
第3章 一村、誕生―39~49歳
第4章 奄美へ 旅立ちと新たなる始まり―50~56歳
第5章 「南の琳派」の誕生―57~63歳
終章 最後の日々―64~69歳
著者等紹介
大矢鞆音[オオヤトモネ]
東京に生まれる。1962年早稲田大学第一文学部美術学専修卒業、NHK出版入社。NHKブックス編集部、図書編集部編集長を経て取締役美術部長。多くの美術図書編集に携わる。奈良県立万葉文化館、鹿児島県奄美パーク田中一村記念美術館、津和野町立安野光雅美術館設立に協力。現在、美術評論家連盟会員、安野光雅美術館館長、奈良県立万葉文化館総合プロデューサー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
124
日本のルソーと言われている田中一村の絵はまだ本物を見たことがありません。時たま雑誌にその絵が載っていたりして絵の印象が強く名前だけは覚えていました。この本を見ると彼の足跡や作品がたくさん載っていて満足できるものでした。鳥や植物に対する目がしっかりとしています。私は「ダチュラとアカショウビン」という作品が好きです。2015/11/27
Mijas
57
「南の琳派」と名付けたいほど、微光の中から煌めきを見せる作品群だと著者は言う。生命力溢れる明るい色彩に引き込まれる。白と緑のコントラスト、亜熱帯の色鮮やかな植物、とても好みの作風だ。一村が旅先で描いた風景画も素敵で、見るだけで気分が晴れやかになる。しかし実際の一村は、奄美の島で病と闘いながら孤独に絵を描き続けていたそうだ。描いたものは、一村の心の中にある理想郷だった。また、礼儀正しく細やかで、若い頃の作品に見られる画賛からも一村の人となりが見えてくるように思う。「幽蘭賦」を付した「竹蘭図」が印象的。2016/12/10
ばう
45
★★★最近、田村一村という画家を知りました。後年奄美に移り住んでその自然をつぶさに観察し色鮮やかな作品を描き続けたことから日本のゴーギャンと言われているそうです。その作品は伸びやかで生命力を感じるものばかりです。初期の作品は伸びやかな構図で大変ダイナミック。そして南画と訣別し、独自の世界を作り上げていく過程がその作品の流れからよく分かります。一村の清々しい作風を見ると、この人は決して恵まれた環境にはなかったけれど心はいつも真っ直ぐだったのだなと。色鮮やかで愛らしい鳥達は今にも動き出して鳴き出しそうです。2016/01/04
ナディ
34
女性誌に取り上げられていて、初めて見た瞬間、頭を殴られたような衝撃を受けた。こんなにハートをつかまれた絵はあまりない。奄美の美しい植生を繊細かつ大胆に描かれている。いつか奄美に見に行きたい。2017/07/06
№9
29
先日テレビ東京の「開運なんでも鑑定団」で田中一村の作品が出て、その紹介で見た作品に衝撃を受けた。今年の3月に「奇想の系譜」で突然に美術ファンになった自分だが、一村には伊藤若冲を知ったときの衝撃に近いものを感じる。一村を支え続けた岡田氏の言葉に「この画家の真価がわかるのは百年後だろう」との言葉があるそうだが、自分にも確かにそう思える。その画風は「南の琳派」とも称されるそうだが、その造形と色彩は自分には「未来の琳派」とも呼べるような、何か時空を超越したかのような印象を受ける。東京圏で田中一村展、やってやって!2016/12/13