目次
第1章 歴史主義と異国趣味からの出発(伝統的な様式の継承;東方文化への憧憬)
特集 独自の解釈と遊び心―陶器
第2章 深みを増す陰の世界(「ものいうガラス」「悲しみの花瓶」)
特集 生活の場に生きる芸術―家具
第3章 到達した孤高の境地(花開くアール・ヌーヴォー;1900年パリ万博;「削り」から「盛り上げ」へ;母なる海への回帰)
終章 ポスト・ガレ
総論 ガレ芸術の真底にある世界とは
著者等紹介
鈴木潔[スズキキヨシ]
1954年神奈川県生まれ。東京教育大学教育学部芸術学科卒。筑波大学大学院芸術学研究科博士課程単位取得退学。武蔵野美術大学、玉川学園女子短期大学、東京歯科大学、筑波大学非常勤講師等を歴任。現在、財団法人北澤美術館学芸部長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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れみ
62
なんでも鑑定団の再放送でガレ作の陶器のフクロウを鑑定してるのをみて、久々に本棚から引っ張り出してみた。ガレといえばガラス工芸のイメージが強いけど陶器にもすごく力を入れてたんだなあ。羽飾りの男女をモチーフにしたティーセットや団扇型のチョコレート用のお皿、五線譜が描かれているココットなどどれもとても素敵で心ときめく♪ガラスの作品もやっぱり素敵で心惹かれるなあ。近々北澤美術館に行きたい!2015/06/14
糸車
24
ガレと言えば有名なひとよ茸のランプ。ガラス工芸作家だと思っていたらガレは陶芸でも家具作りでも才能を示す多彩な人だったんですね〜。象嵌細工の家具、特にグランドピアノの美しいこと!実際に見てみたい。2019/01/22
日々珠
13
黒いガラスの複雑な憂鬱に驚く。また、裏表紙のサインの叙情的な線に、心打たれた。元の文字の形をとどめないほどの、作品全体の流れに沿った、サイン。2014/02/15
もっちゃか
12
写真が多く、見ごたえ・読みごたえのある充実した内容でした。ガレと言ってすぐ思い浮かぶような、いかにもな作品しか知らなかったので、雰囲気の違う様々な作品を見ることができて興味深かったです。このシリーズ、他も色々と読んでみたくなりました。2013/05/08
coco.
11
光の魔術師エミール・ガレ。アールヌーヴォーを代表するガラス職人であり、芸術家とも呼ばれる。私が初めて目にしたのは香水瓶展の時。彼の作品の繊細さに感動し、ガラスにも表現の幅、多様性、可能性があることを教えてもらった。初期は母国フランスの文化であるネオロココ調から学んだ絢爛美。中期は観察に目を凝らした動植物の造形美。晩年は黒いガラスを基調とした頽廃美が特徴だ。ガレの花器は花器向きではない。何故なら「主役の花よりも花器の方が美しい。」と思ってしまうから。これまでに一体、幾千本の花に嫉妬されているのだろうか。2013/08/11