内容説明
本の出版を死のまぎわまで心待ちにし、ついに手にすることなく逝った獄窓の歌人、島秋人。彼がのこした、あたたかさとやさしさに満ち、時に澄んだ悲しみをたたえて胸を打つ、珠玉の歌の数々。
目次
昭和三十五年―初めて小説新潮に投稿し佳作となり活字になった。
昭和三十六年―この年より毎日新聞に投稿する。
昭和三十七年―この年「タイム」に紹介される。六月死刑確定す。十二月四日受洗。
昭和三十八年―「毎日歌壇賞」受賞。父が面会に来る。文鳥一羽を飼うことを許される。
昭和三十九年―父に新しく家があたえられる。わが送りし賞金二万円が、その基金と聞く。
昭和四十年―信仰の姉に、角膜・遺体献納の為に必要と義母になってもらい、母を得る。
昭和四十一年―自愛心を得て、幸福感深む。
昭和四十二年―師父、窪田空穂先生の御死去。病床の和子を知り愛を結ぶ。