内容説明
浮世絵の伝統に立脚し、あるいは反発しながら、さまざまな試みに挑戦して時代時代の傑作を生み出してきた日本の近代版画。やがて日本版画は、国際的なコンクールで受賞を重ね日本を代表する美術にまで発展した。明治から昭和までの、個性きらめく版画家42人の特徴・技法・人間像がわかる一冊。
目次
第1章 明治から大正期の版画―浮世絵版画から新版画へ(落合芳幾―不安な世相を背景に、生と死のあいだに浮かび上がる人間像を映写;月岡芳年―熟達した画技と創造的精神が生んだ、明治浮世絵の到達点 ほか)
第2章 大正から昭和初期の版画―創作版画の誕生と発展(山本鼎―今日に続く創作版画の偉大なる父;織田一磨―街の記憶を描きとどめる孤高の石版開拓者 ほか)
第3章 昭和前半期の版画―個性派たちの登場(川上澄生―異国的なるものへの憧れ;川西英―ハイカラでまばゆい色面構成 ほか)
第4章 昭和後半期の版画―世界への飛躍(棟方志功―古典回帰して日本の伝統や土着性を浪漫的「板画」に表す;長谷川潔―古典技法によって一木一草を描いて、真理に迫る ほか)