出版社内容情報
独特のせりふ回しで、サイレントの魅力をたっぷり語る映画説明者。別名、活動弁士。トーキー全盛の世の中に、日本では十数人が、かたくなに今もこの伝統芸を守っている。澤登翠もその一人。
十九世紀末にフランスで生まれたサイレント。その後トーキーが考案されるまでの三十数年間、活動弁士ともども大衆の人気を独占した。「なぜ、日本でこれほどまでに弁士が活躍したの?外国の場合は?」
こんな疑問から今、世界中で“映像の原点”といえるサイレント研究が盛ん。そこで引っ張り出されるのが、紅一点の澤登翠だ。アメリカ、フランスなどの海外公演で、名作「瀧の白糸」「忠治旅日記」などの弁士をこなしてきた。
本書はその海外旅行記にとどまらず、無声映画を通じて見た文明批評になっている。映画評論家の佐藤忠男氏が長文の序文を寄せたほか、インタビューや名せりふ集などで活動弁士、澤登翠のすべてに迫る。
内容説明
美しい日本語でつむぎ出す「活弁ワールド」。アメリカ、フランス、オーストラリア、ブラジル…を語り巡るの熱情・詩情あふれるシネマ・パラダイス。