出版社内容情報
下総御料牧場に隣接する旧千代田村〈現芝山町〉。石井四郎と加茂部隊の出身の村である。千代田村の鎮守住母家の春日神社には石井四郎の忠魂揮毫の戦没者記念碑が建っている。1957年の建立である。戦前から今日まで千代田村小学校玄関〈現在福祉施設〉には石井四郎揮毫報徳の二宮金次郎像が建立され加茂部隊の氏名が刻されている。石井四郎の生まれた西加茂集落31戸、内26戸の人が加茂部隊として背陰河・平房731部隊本部で働いている。現在に至っても石井四郎は千代田村の偉人であり恩人なのである。731部隊、加茂部隊の残虐行為は闇の中に隠蔽されたままである。この闇の中に隠された真実を明らかにできるのであろうか。明らかにしなくてはならない。ここで戦わずして日本のどこで戦うというのか。平房施設に捕縛監禁されていた中国人200名は731部隊によって虐殺。広場に死体焼却の特別鉄骨台がつくられ油がかけられ焼却された。白骨化した骨は石炭殻と混ぜられて秘密の内に松花江に流された。そして石井四郎軍医中将が平房施設の部隊に向かって「731部隊のことは墓場までもってゆけ、明らかにしたものはこの石井が絶体に許さん」と絶叫した。石井は実験資料を日本に持ち帰り兄の剛男〈監獄管理責任者〉三男〈動物管理責任者〉と帰国したのであった。そしてアメリカ帝国主義者と取引をして戦争犯罪を石井は逃れた。石井四郎一族、加茂部隊は千代田村加茂の故郷に帰ってきた。我々は戦争の被害者であると同時に加害者でもある。加害者としてなぜ侵略戦争を阻止できなかったのかの歴史的責任がある。二度と戦争犯罪を繰りかえさないためにも日本軍の「破壊つくす、奪いつくす、焼き尽くす」三光作戦の実態を明らかにし歴史の教訓としなければならない。
それは日本人民の神聖なる責任と義務である。(あとがきより)
【目次】
第1章 731部隊と加茂・千代田村
? 731部隊と加茂
石井四郎の故郷 千葉県山武郡千代田村加茂/背陰防疫研究機関設立と東郷部隊/高谷川での石井式濾水機の実験
? 地元に残る731部隊の痕跡
春日神社の忠魂碑/新たな発見 二宮金次郎像台座裏の731 加茂部隊/二宮金次郎像の建設を巡る調査/建立された1938年(昭和13)の歴史背景と石井四郎/台座に刻された46人は誰か/石井彪雄の忠魂碑/石井四郎の実家の墓石/宗門人別改帳に見る家族構成/父桂と石井四郎の兄弟の墓石
第2章 私と731部隊
青年団活動と新生中国の話を聞く/中国革命への関心と多古町社研の結成/日本軍の中国侵略中の残虐行為を認識/石井部隊の母体の加茂集落への関心
第3章 千代田村、多古町から動員された731部隊員
? 史料から見た動員状況
731部隊へ動員された芝山・多古の人々/『関東軍防疫給水部―通称・満州第659部隊―留守名簿』 2018年公開
?「留守名簿」に見る旧千代田村の動員状況
千代田村の留守名簿/細菌研究所建設と故郷の動員/菱田の731部隊雇員・小川和一/小川和一さんの遺書/千代田村兵役名簿で見た千代田村の実相/小川源さんの兵歴/731部隊員軍属大竹金三・はな夫妻
? 留守名簿に見る多古町の動員状況
多古町の留守名簿/731部隊多古職工会/石井四郎、石井三男、星野うたの加茂村脱出/多古町島の富岡菊雄(BC級戦犯)逮捕/多古町五反田出身の731部隊員/萩原英夫・斎藤通・秋山顕の墓地
? 農民運動家実川清之
敬意すべき活動歴/渡満の心境/ハルビン共産党事件/石井四郎と実川清之の面談/千葉県下に初の共産党員村長誕生
第4章 加茂・千代田村の歴史と実相
? 千代田村の概要
加茂村の町村合併史/千代田村の誕生
? 合併以前の加茂村
西加茂村普賢院寺宗門人別帳/木更津県管轄第五十四画戸籍/加茂村の石高/西加茂村年貢割付帳に見る石井伊八の突出した納米/郷から村への発展/本百姓と無高持百姓
【章末資料】
第5章 幕末・明治初期の石井家
? 地租改正前の石井家の地位と土地所持
幕末の石井四郎家の動向(名主・伊兵衛)/加茂村の名主石井伊兵衛 抑圧と支配の末端機構/年貢割付名主としての役割/考えられる地割制度による耕作地獲得/伊兵衛の頃の村社会/天正に始まる検地の歴史と江戸時代の農民階層
? 明治初期の石井四郎家の動向(名主、地主・石井伊八)
記録に残る伊八の債権と所有地/石井伊八家の年貢納米/年貢米の苛斂誅求/明治6年(1873)地租改正法
? 近代国家成立過程における村落支配
版籍奉還 太田資美の柴山移封/近代国家の成立と村々に対する支配/藩主太田資美の入部/藩士の配置と村支配/柴山藩の財政/国益金割り当て 朝廷維持負担金/廃藩置県と農村支配の再編/古文書に現れる石井家歴代当主 行政組織の確立と石井家



