内容説明
本書は、当時の子どものおかれた立場を、教育・遊び・世相文化などの分野から、分かり易い図版で纏めることにした。大人の読者だけでなく、未来を担う今日の子どもたちにも、当時の同世代の子どもたちが、どのような状況に置かれていたかを伝えておきたいからである。適切な図版を掲載するために、当時の資料として、教科書・絵本・漫画・新聞・雑誌などの読み物から図版を選抜した。
目次
はじめに 皇軍兵士・軍国の母へのジェンダー
第1章 天皇(神)と小さな臣民たち
第2章 その頃、戦争は「格好よかった」
第3章 遊びの中の戦争
第4章 男子は皇軍兵士に
第5章 女子は軍国の母に
第6章 銃後を守る「良い子」だった
第7章 「正義」の戦争の世相の下で
第8章 無謀な太平洋戦争に突入
終わりに 流血のアジアを忘れないために
著者等紹介
久保井規夫[クボイノリオ]
1967年、香川大学教育学部卒業。大阪府吹田市、摂津市にて公立小中学校に教諭として勤務。吹田市同和教育研究協議会の役職など、人権・平和・教育の推進に努力し、実践・著作多数。2003年3月、退職。APHC(アジア民衆歴史センター)主宰。2007年、私立大学教員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
240
著者の久保井規夫氏は、大阪の公立小・中学校に教諭として勤務。人権、平和、教育に関する著書多数とある。本書は、戦中のポスターや絵画資料をふんだんに活用することで、戦時下の子どもたちが置かれていた状況を浮かび上がらせようとするもの。教育から子供たちの遊び、マスコミにいたるまで、こぞって戦時体制に組み込んでいく様子が多角的に示されている。効果はやはりあったというべきだろう。本書の書物としての欠点は、編集が平板すぎること。最初から最後まで同じタッチで終始するがゆえに、訴求力が落ちることが懸念される。2025/09/10
更紗蝦
9
「大東亜南方諸地域の石油は、これによって大東亜戦争が点火されたといっても過言ではないほどの重要さを持つものであります」「作戦遂行の原動力たるこの豊かな地下資源を有する事は、誠に力強い限り」←『靖国絵巻』(昭和19年)という子供向けの本より。太平洋戦争が侵略戦争であったことが凄くよく分かります。多くの図版を掲載することを優先しているため、作者による解説は最低限となっており、この手の本の記録としての価値は認めても「作者の意見が鼻につく」と言って不快をあらわにするタイプの人にはうってつけの本となっています。2015/04/16
星辺気楽
5
文章は解説のみで、ほとんどが戦時中の子ども向けの絵本や雑誌、絵画などの絵が中心。当時の子どもたちがどのような環境の中で育てられたのかがよく分かる。2013/09/27
SK
4
そもそもの題材に加えて、レイアウトや文章からシュールな感じが漂っている笑。解説文の有無は、スペースの都合ですかね。洗脳教育的にも、ジェンダー的にも、戦時中は最悪ですね。2020/12/01
保山ひャン
4
天皇(神)と小さな臣民たち〜その頃、戦争は「格好良かった」〜遊びの中の戦争〜男子は皇軍兵士に〜女子は軍国の母に〜銃後を守る「良い子」だった〜「正義」の戦争の世相の下で〜無謀な太平洋戦争に突入。当時の雑誌、絵本、カルタ、教科書、紙芝居、宣伝ビラなどの資料をオールカラーで紹介し、いかに国民を動員したかを探る。わかりやすい!(鎮守の氏神に武運長久、必勝祈願の図版が二回使われてますよ!)『主婦の友』の表紙に「アメリカ人をぶち殺せ!」と書いてあるのは衝撃的。サブカルチャーとして消費してしまうのが対策になるか。2017/07/01




