スパルタの秋

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  • サイズ B6判/ページ数 216p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784806767039
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0022

出版社内容情報

ホメロス以来のヨーロッパ英雄史観に真っ向から挑んで、ギリシャ神話の世界を描いて好評の「エピタフ」「トロイの女」に続く、「新・ギリシャ神話」シリーズ待望の第3弾。ゼウス神の落とし胤といわれるスパルタの王女ヘレネー。彼女の波乱に満ちた生涯を、ていねいな歴史考証と大胆な仮説で描き出す。  ■■■中山千夏氏=これは、ていねいな歴史考証という土台の上に、戦争を体験した女の無念と、物語を愛する心とで構築された、もうひとつのギリシャ神話です。古代のなかから、「今」が鳴り響いてくるでしょう。■■■  ★★★読売新聞評(1993年9月30日)=ゼウス神の落としダネといわれるスパルタの王女ヘレネー。彼女の波乱に満ちた生涯を歴史考証と仮説で描き上げたロマン。ホメロス以来の英雄史観に女性の視点から挑んでいる。★★★産経新聞評(1993年10月14日)=ホメロスの「イリアス」に展開される英雄武勲を、壮絶な悲劇ではなく男性社会の愚挙という観点で描き切る。★★★教育新聞評(1993年11月15日)=歴史小説的な面白味があって、ふしぶしに教訓が散らばっている本だといえよう。★★★  ■■■女性=今までの日本人の書いた本にないスケールの大きさを感じる。そして日本人的センチメンタルな表現がないことがすばらしい。■■■女性=まるでアリスが鏡の国に迷い込んだようにギリシャ神話の世界に入り込んでしまった。とてもすばらしい幻想の世界。■■■男性=30年前、ギリシャ悲劇とギリシャ神話を読みふけったことがありますが、こんなにリアルな存在感を抱いたことはありませんでした。■■■男性=きわめて煩瑣な史料の検証をふまえての流麗な表現・展開がすばらしい。■■■女性=時と空間を越えて、すべての女性に共感を覚えさせるものでありましょう。■■■男性=男性中心の社会の愚かさ、醜さに対する痛烈な批判は、そのまま現代社会に対する批判として読むことができると思った。■■■女性=一気に息をつく暇もなく、面白さに魅かれて最後のページまで来てしまいました。夕飯の支度をしなければならないことを思い出して真っ暗な部屋の中に立ち上がりながら、私は、これこそ“女の一生”と呼ぶのにふさわしい物語ではないかと考えました。どうかこのご本が、あまりにも小ぢんまりと小さくまとまりすぎてしまった私たちの世界観に新しい風を、というより地震を引き起こしてくれますようにと祈っています。■■■  ●●●「あとがき」より=巨大な国が、もうひとつの巨大な国との戦いに勝ったのに、勝ったとたんにこの国は衰えはじめ、80年ばかりのうちに滅びてしまう。そして、新しい勢力ドーリア人にとってかわられる。おそらく他の巨大な国を滅ぼしたような原因がすでにこの国に内在していたのではなかったろうか。腐敗、堕落、分裂、傲り等々。そして起こした戦いが、大きすぎ、長すぎた。少し考えてみれば、誰にでもすぐわかることではないだろうか。10年も続くこの戦いの原因が、単なる一女性の不倫などではなかったろうということが。詩の上、歌の上、あるいは5世紀ほど後に、さかんに書かれた悲劇の上では、その方がロマンティックで、美しいと感じられるかもしれないが、実際は、もっと、どろどろとした欲望が渦巻いている、汚い世界だったのではなかったろうか。貿易上の抗争とか、その頃のトロイの山々を覆っていた見事な森林資源に対する羨望だとか、ダーダネルスから黒海へ至る海のルートへの欲望とか。また一女性を争うにしては、ギリシャ人たちの戦いの規模が大きすぎた。もともとヘレネーはスパルタのメネラオスの妻だから、戦争に勝った場合でも、実際妻を取り返すという利益を得るのは、メネラオス一人なわけである。ところがギリシャ側は1200艘の船、10万人の兵士を動員している。この戦争にギリシャ側がいかに総力をあげたかよくわかる。何のためだろう。そしてトロイに遠征し、そこにとどまること10年。ギリシャ中に疲弊が広がっていく有様が目に見えるようだ。おそらく当時の、ギリシャは太平洋戦争末期の日本の荒廃に似た様相を呈していたのではなかろうか。伝承は言う。トロイ戦争に勝利した後、領主たちは戦利品と捕虜を、山のように船に積んで、意気揚々と故郷へ帰ってくる。ところがなぜか故郷は彼らを受け入れない。故郷の領民や、妻や、親族たちは、トロイ戦争を「よい戦争」とは思わなくなってしまっていたのだ。そしてこの戦争を起こし、10年間、これを継続した領主たちを、愚かな支配者として、見限っていたのであろう。そしてそう感じさせるだけの実害が、すでにふるさとの町や村に、色濃くあらわれていたのではなかったろうか。サマセット・モームは、ホメロスの叙事詩を原文で読んで、言葉もないほど感動したといっている。残念ながら、私はギリシャ語の詩の美しさを鑑賞することはできない。それどころか、空襲や、原爆や、疎開や、家族離散や、飢えや、みじめさや、屈辱感や、そうしたことをいやというほど体験した私たち日本の女にとっては、トロイ戦争は、愚かな「英雄たち」の愚かな戦いとしかうつらないだろう。たとえ原文で読んだとしても。●●●  【主要目次】金の冠をかむった白鳥/遺恨/春の白い風/求婚騒動/出逢い/トロイ王家の人々/ヘクトールの死/パリスの戦い/トロイの木馬/トロイ滅亡/スパルタの秋/黄昏の果て

内容説明

ホメロス以来のヨーロッパ英雄史観に真向から挑んで、ギリシャ神話の世界を描いて好評の「エピタフ―英雄たちの墓標」「トロイの女」に続く待望の第3弾。ゼウス神の落とし胤といわれるスパルタの王女ヘレネー。彼女の波乱に満ちた生涯を、ていねいな歴史考証と大担な仮説で描く。

目次

1 金の冠をかむった白鳥
2 遺恨
3 春の白い風
4 求婚騒動
5 出逢い
6 トロイ王家の人々
7 ヘクトールの死
8 パリスの戦い
9 トロイの木馬
10 トロイ滅亡
11 スパルタの秋
12 黄昏の果て