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出版社内容情報
元海軍士官が、「命あるうちに」との懺悔の思いをこめて告白する、25歳の夏、狂気の中の青春。 ★★★朝日新聞評=太平洋戦争末期、ルソン島で地獄を見た元海軍将校の率直な自分史。「決して戦争の道をたどらないために」という熱意に打たれよう。★★★ ●●●「序---早乙女勝元(作家)」より=長井清さんが「懺悔の記録であり悔恨の思い」をこめて筆をとった本書は、かねてから、いわゆる戦記物に対する私の固定観念を一変させる記録であった。戦記物には得てして高級軍人の武勇伝と郷愁がみられ、戦争責任についての認識に欠けるものがすくなくないが、本書はそれらとちがって、読み出したとたんから強くひきつけられた。予備学生出身の将校としてルソン島に投入された筆者が見た戦場とは、いったいどういうものだったのか。上官の命令による“腕試し”としての捕虜惨殺があり、飢餓で発狂寸前の精神状態での人肉食事件も起きた。見た話、聞いた話ではなく、筆者自身がすべて体験したことである。「戦争は人を狂わし、国を狂わすという。私の青春もまさに狂気の中にあった」と長井さんは述懐するが、私は溜息とともに読みつづけて、これが戦争の実態にちがいないと思った。たまたま筆者が貧乏くじを引いたのではなくて、敵を殺すか自分が殺されるかのどちらかしかない戦場では、兵たるものはみな「狂気の中」に転落していくのであろう。彼らのほとんどがその心境を語らないのは、いまや語る術がないからである。死の世界からかろうじて脱出できた筆者だからこそ、死者の心が代弁できるのかもしれない。その意味では、まさに真実と痛恨の記録といえそうである。本書を読んで、いつしか私もまた涙がとまらなかった。いつのまにやら、筆者と同じ心情になっていたからであろう。このような歴史が、決してふたたび繰り返されてはならないと思う。●●● 【主要目次】夢の中のラグビー/戦場へ/マニラの暗号士/あの月夜のこと/京都の暮し/敵が迫ってきた/マニラからの撤退/バギオ基地/生き埋め/南無阿弥陀仏/屍体に群がるウジ/餓鬼道に落ちて/軍使になって/八ヶ月ぶりのご飯/幽霊がきた!/勝者と敗者/十三階段/誰か故郷を想わざる/リバティー船はどこへ/平和に浸かって
内容説明
脳梗塞につづいて心筋梗塞で倒れた元海軍士官が、「命あるうちに」と、ざんげを込めて告白する25歳の夏。
目次
夢のなかのラグビー
戦場へ
マニラの暗号士
あの月夜のこと
京都の暮し
敵が迫ってきた
マニラからの撤退
バギオ基地
生き埋め
南無阿弥陀仏
屍体に群がるウジ
餓鬼道に落ちて
軍使になって
8ヵ月ぶりのご飯
幽霊がきた!
勝者と敗者
13階段
誰か故郷を想わざる
リバティー船はどこへ
平和に浸かって