新・人体の矛盾

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  • サイズ B6判/ページ数 237p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784806744993
  • NDC分類 491.3
  • Cコード C0040

出版社内容情報

人間のからだの秘密を再発見する書。
35億年にわたる壮大な生命の進化の産物である人体。
血液・背骨・手足・胎盤・脳……など、起源を異にする新旧さまざまな器官の進化の歴史を振り返り、人体にひそむ調和と矛盾のなぞを解き明かす。

【書評再録】
●北海道新聞評(1994年2月6日)=ヒトが失ったもの、獲得したものの変遷は、人体がまさに器官の寄せ集めであることを実感させる。
●教育新聞評(1994年6月20日)=人体の摩訶不思議さを浮き彫りにした。ヒトはなぜ立っているとき、膝をのばしているのか、指が五本なのはどうしてなのかなど、ふだんあまり意識していないことを改めて知ることができる。人体の進化がわかる本書は、興味深い一冊である。

【内容紹介】本書「まえがき」より
 人体を構成している器官や組織や細胞のいずれかをとりあげ、その構造や働きを探求するなら、そこには驚嘆するばかりの合理性がみいだされる。たとえば、眼球はカメラにたとえられて、その精巧さが説明されるが、眼球のすべての部分は生きた細胞からできているわけで、傷ついた場合にも、その修復能力は自動的で、カメラのたぐいではない。純粋に光学的な機能からみると、カメラの優れた面もあるだろうが、ヒトの眼球からの情報は、脳の情報処理によって補正され、比類のないすばらしい視覚の世界をつくりあげている。
 このように、人体はおどろくばかり緻密かつ精密に、そして無駄なくできており、それぞれの器官や組織や細胞が協調しあって、全体が調和のとれたみごとな統一体をつくりあげている。このような自然のつくりあげた巧みの世界は、解明しつくすことができない奥の深いものを感じさせる。
 ところが、人体は調和と統一性をもつ反面、いろいろな病気や死といった調和と統一の破綻があることも、厳然たる事実である。心臓や脳の血管がつまってしまうのは、現象的には血管壁の硬化にちがいないが、なぜ血管に硬化が生じ、その場所が心臓や脳であるのかは、このような現象的な探究からだけでは説明がむずかしい。
 ヒトの体内の病気といった現象の背景には、古い構造物と新しい構造物のあいだの不調和、矛盾にこそ、真の原因がもとめられることもすくなくない。
 人体の一つひとつの器官の形や働きは、たんなる機能的な合理性だけからなりたっているわけではない。それは、一つひとつの器官の起源と、その後の人体がたどった、内部と外部との複雑な関連の歴史の結果にほかならない。
 調和と統一をたもった人体も、一つひとつの器官が起源した時代によって分析するならば、生命の起源以来、じつに35億年の歴史をもつ古いものから、現在もなおつくられつつある器官まで、新旧さまざまな器官のよせあつめであることがわかる。人体は、このような歴史的な重層構造をもちながらも、全体として調和し統一をたもっているが、その調和と統一は、けっして恒久的なものでもなければ、本質的なものでもなく、むしろ、これらの器官の間の新旧のちがいとその矛盾にこそ、生命現象の本質がよこたわっており、進化の本質があると思われる。
 本書では、人体のいくつかの器官をとりあげ、その起源の古いものから新しいものの順に、それぞれの器官がたどった歴史をふりかえってみたいと思う。ここにとりあげた器官は、人体のほんの一部にすぎないが、自分自身の体内にもつ、壮大な生命の歴史と、合理性の反面にある人体の矛盾を理解していただければ、幸いである。

【主要目次】
▲▲第1章・血液と太古の海
   コンピューターの進化/家庭と人体/血液と体液
   人体こぼれ話・人体解剖事はじめ
▲▲第2章・背骨をたずねて
   背骨をさぐる/脊椎動物の起源/背骨の新時代
▲▲第3章・歯の由来
   ヒトの歯/顎骨と歯のはざま/鮫肌と歯
   人体こぼれ話・表情筋の下には爬虫類の顔が!
▲▲第4章・腎臓の進化
   腎臓の構造とはたらき/ヒトの腎臓の発生/腎臓と尿の進化/腎臓の反復説
▲▲第5章・肺の起源
   産声/オタマジャクシは語る/陸地の制覇/肺の進化
   人体こぼれ話・口の中に鼻がある?
▲▲第6章・手と足の由来
   ゆれる足/ヒレから手足へ/五本指のなぞ
   人体こぼれ話・手の解剖がおもしろい理由
▲▲第7章・耳の歴史
   耳の解剖/哺乳類の証/耳のはじまり
▲▲第8章・毛根をさぐる
   毛根をさぐる/毛はどこからきたのか/毛は語る
▲▲第9章・胎盤の出現
   胎盤は語る/卵の小宇宙/胎盤の未来
   人体こぼれ話・便器の進化とヒトの進化
▲▲第10章・大脳皮質は考える
   重い脳/脳の地質学/脳に未来はあるか
▲▲第11章・オトガイの謎
   人間らしさとは/ヒトの系図/ヒトが失ったもの/ヒトが獲得したもの/ヒトらしさの謎
   人体こぼれ話・ノドチンコの謎/破壊は構築である
▲▲第12章・人体の矛盾
   人体の矛盾/相関の法則/個体発生と系統発生/人間の社会/人体の未来

内容説明

本書では、人体のいくつかの器官をとりあげ、その起源の古いものから新しいものの順に、それぞれの器官がたどった進化の歴史をふりかえって見てゆくことにする。

目次

1 血液と太古の海
2 背骨を訪ねて
3 歯の由来
4 腎臓の進化
5 肺の起源
6 手と足の由来
耳の歴史
8 毛根をさぐる
9 胎盤の出現
10 大脳皮質は考える
11 オトガイの謎
12 人体の予盾

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

手押し戦車

11
人間の体には25億年前の名残があるそれは血液、輸血で代用するときもある生理食塩水、これはまさに塩分を含んだ水である。人類は元は海からできたという証拠になる。もし生き物が陸で進化してきたら細胞に水分の必要のない個体になっていたかもしれない。人間が直立歩行するようになったのだがまだ対応できないのは立ちくらみが起こるさい心臓と脳の高低差により血圧が対応しなかったり、朝礼の時に倒れてしまうのは腎臓垂下と腎臓固定が未熟で血液循環が上手くいかない、ヘルニアなどまだ対応できな矛盾がある。新旧様々の器官の複合体が故の欠陥2014/04/23

Haruka Fukuhara

2
少し古い本だが人体へのアプローチとして進化や他の生物との比較という手法を取っていて興味深かった。2017/05/05

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