狼―その生態と歴史

狼―その生態と歴史

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  • サイズ A5判/ページ数 308p/高さ 22X16cm
  • 商品コード 9784806723387
  • NDC分類 489.56
  • Cコード C0045

出版社内容情報

絶滅したニホンオオカミの生態と歴史の集大成。犬科動物の研究では第一人者といわれる著者が、数十年にわたって収集した正確な資料と、狼と生活をともにした実体験を含めた、科学的な観察と分析により、ニホンオオカミの特徴や大きさ、性質、残存説などを検証する。神格化された古代から、やがて病狼と恐れられ、絶滅へと追い込まれていく歴史も詳述する。  ●●●「まえがき」より=生き物を研究するには、その生きている状態をそのまま観察するのが本当だと思う。これは全く当然のことである。そして、それには、何といっても、いっしょにくらすのが第一である。檻の中だけの拘禁状態でおくのでは意味をなさない。また、いっしょにくらすといっても、彼らをわれわれの生活に順応させるのではなく、むしろ、こちらから彼らの方に接近し、その仲間になることが望ましい。しかも、ほんとうに動物の好きな人なら、これは決して難事ではなく、自然に、そうなるはずである。ただし、単一の個体や種族では、その形態や習性の由来をじゅうぶんに理解しがたいことが多い。そこで、私は、犬や狼をよく知るためには、狼、ジャッカルから狐、狸をはじめ、熊、ハイエナ、ジャコウ猫、山猫の類いまで、かなりの数を身辺において親しんだ。この本に記したことは、どんな古文書や資料にも、みな、そのような私の体験が裏付けとなっている。その代わり、私のよく知らない、また人によって、学説のかなりに異なる史前の事柄には、思い切って一切触れないことにした。この本の成立には、じつに50年の歳月を要した。最初は「犬と狼」とするつもりであったが、じっさいに着手してみると、狼だけで、たちまち600枚を越してしまった。そこでこのような狼の生態と歴史を中心にしたものになったのである。 【主要目次】▲▲序章=狼への幻想と現実  ▲▲第一章=犬科の分類と解説(狼/ジャッカル/コヨーテ/たてがみ狼/フォークランド狼/カニクイ犬/アザラ犬/マゼラン犬/小耳犬/小歯犬/狸/ディンゴ/家犬/赤狼/赤犬/やぶ犬/大耳犬/アフリカ野生犬)  ▲▲第二章=犬と狼の関係(家犬/犬と狼の比較/犬と狼の混血種)  ▲▲第三章=日本狼の歴史---神狼から病狼まで(古代の狼害と狼の神格化/狼を祀る/白い日本狼/狼と山犬/狼保護の法令/病狼の発生/病狼の実例/狂犬咬傷の治療)  ▲▲第四章=狼狩の記録(江戸時代の狼狩/狼を仕留めた話/狼害と狼という地名/狼の見世物)  ▲▲第五章=狼の伝説(狼の姿態に関する伝説/狼の習性に関する伝説/狼の性質に関する伝説/その他の伝説)  ▲▲第六章=日本狼の形態(日本狼の特徴/日本狼の大きさ)  ▲▲第七章=日本狼の絶滅(滅びた二種の狼/その後の残存説)  ▲▲終章=狼を飼った人々(狼を飼う/ジャッカルを飼う)

内容説明

「大口の真神」とあがめられた古代から、「病狼」と恐れられ、やがて絶滅していったニホンオオカミの生態と歴史を、数十年にわたって収集した正確な資料と、生態学の眼をもってまとめあげた。ニホンオオカミの正史。

目次

序章 狼への幻想と現実
第1章 犬科の分類と解説
第2章 犬と狼の関係
第3章 日本狼の歴史―神狼から病狼まで
第4章 狼狩の記録
第5章 狼の伝説
第6章 日本狼の形態
第7章 日本狼の絶滅
終章 狼を飼った人々

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

すったもんだ

4
この国の狼における全てが書かれているとは言っても過言ではない一冊。名著。何となしに買いましたが思わぬ収穫でした。この手の本で面白く読めたのは初めて(まあ読んだ数が少ないのですが)。鹿や猪などの獣を追い払い、大切にされてきた狼が海外からの狂犬病の侵入、特徴である集団生活により病の蔓延、罹患率は100%、高確率で死に至る。日本全国で恐怖の象徴へと変化、やがては懸賞金が掛けられ絶滅へと追いやられる。データが並ぶ箇所では一般の読者には退屈だろうと一言あり作者の人柄が伺える。惜しむらしくは古い本で今が知れないこと。2021/06/23

トムトム

4
自宅で飼育していた動物たちがすごい。その環境で育った娘さんがうらやましい2019/08/22

読書備忘録

1
ニホンオオカミの歴史を、過去に残された様々な文献を元に分析し、その詳細を記した一冊。ニホンオオカミに関する記述のほとんどをこの一冊で知ることができるのではないか――と感じてしまうほど、彼方此方の情報を持ってきてくれている。過去の狼の扱い、その伝承から、絶滅に至るまでの変遷が順を追って書かれている。人間の勝手が確実に彼らを追い詰めてしまったのだというのが、何よりも悲しい。かつて大口の真神と崇められ、日本各地に存在した森の守り神たちのことを、もっと多くの人に知ってもらいたいと思った。2020/03/21

シンリ

0
これは良い。とても良い。2014/04/16

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