出版社内容情報
気鋭の海洋生物学者が、古代から現代までの貝と人間とのかかわり、
軟体動物の生物史を鮮やかに描き出す。数千年にわたって貝は、
宝飾品、貨幣、権力と戦争、食材など、
さまざまなことに利用されてきた。
人間の命が貝殻と交換され、
幻覚を起こす薬物としても使われ、
医学や工学の発展のきっかけもつくる。
気鋭の海洋生物学者が、
古代から現代までの貝と人間とのかかわり、
軟体動物の生物史、
そして今、海の世界で起こっていることを鮮やかに描き出す。
日本の読者のみなさんへ
プロローグ
Chapter1 誰が貝殻をつくるのか?
軟体動物は何種類いるのか
熱水噴出孔にいる軟体動物
軟体動物とはどんな生き物か
ことの始まり──バージェス頁岩(けつがん)
軟体動物の祖先?──ウィワクシア
軟体動物が先か、貝殻が先か
防弾チョッキに穴をあける歯──削り取り、噛み砕き、つき刺し、銛(もり)を打つ
サーフィンを覚えた巻貝──足
1000に1つの殻の使い方──外套膜(がいとうまく)
Chapter2 貝殻を読み解く──形・模様・巻き
イポーの丘で見つかった巻貝
螺旋の科学
貝殻をつくる四つの原則
貝殻の仮想博物館──考えられる限りの貝殻の形
なぜ形が重要なのか
右巻きと左巻き
自然界のお遊び──模様
マインハルトのシミュレーション・モデル
理論を裏づける証拠
軟体動物の日記を解読する
コウイカの模様の解明北極地方の落葉樹林
Chapter3 貝殻と交易──性と死と宝石
貝殻の持つ神秘の力
最古の宝飾品
不平等の兆候
世界中で使われたスポンディルスの貝殻
旅するタカラガイ──貨幣
奴隷とタカラガイ
ヤシ油と貝殻貨幣
Chapter4 貝を食べる
セネガルのマングローブの森で
イギリス人と貝
好ましい海産物?
事件の全容──貝毒による被害の原因
誰がシャコガイを食べたのか
カキの森の守護者──ガンビア
トライ女性カキ漁業者協会
2日にわたるカキ祭り
Chapter5 貝の故郷・貝殻の家
失われたカキ漁
カキと生物群集
カキ漁の復活をめざして
カキの冒険
生育の足場になるカキ殻
共同体をつくる炎貝
ヤドカリ──殻をつくるのをやめたカニ
順番待ちするオカヤドカリ
ヤドカリに居候する生き物たち
Chapter6 貝の物語を紡ぐ──貝の足糸で織った布
海の絹でつくられた伝説の布
ピンナの足糸
シシリアタイラギと海の絹
海の絹の神話と現実
海の絹の産地──ターラントとサルディニア
海の絹を織る姉妹
海の絹の殿堂──足糸(そくし)
極秘の足糸の採取方法
シシリアタイラギと共生する生き物
Chapter7 アオイガイの飛翔
殻をつくるタコ
オウムガイの殻
アンモナイトが祖先?
蛇石(へびいし)と雷石(かみなりいし)
肥料になったコプロライト(糞石)
アンモナイトかアンモノイドか
白亜紀末の大量絶滅とアンモナイト
19世紀にアオイガイを調べた女性──お針子から科学者へ
自分で殻をつくるアオイガイ
アオイガイの奇妙な性行動
ジェット噴射
Chapter8 新種の貝を求めて──科学的探検の幕あけ
オウムガイでつくられた器
海外遠征した博物学の先駆者たち
科学的探検の幕あけ
新種の貝を求めて太平洋を横断──ヒュー・カミングの探検
2度目の探検──中南米の太平洋岸
サンゴ三角海域へ──フィリピン諸島
商取引されるオウムガイ
カミングの標本と有閑階級
ロンドン自然史博物館に収蔵されたカミングの貝コレクション
貝の図鑑──『アイコニカ』と『シーソーラス』
Chapter9 魚を狩る巻貝と新薬開発
イモガイの秘密をあばく
複合毒素の複雑な作用
貝毒から薬をつくる
生物接着剤になったイガイの足糸
二枚貝がつくり出す液状化現象
割れない殻の秘密──真珠層
巻貝の鉄の鱗
危機に瀕するイモガイ
Chapter10 海の蝶がたてる波紋──気候変動と海の酸性化
海の蝶を訪ねて──グラン・カナリア島
海の蝶の不思議な生態
酸性度の問題
石灰化生物たちの困惑
軟体動物が受ける酸性化の影響
死滅への道を歩む海の蝶
海の蝶の糞の役割
生態系を調べる手段
酸性化の時間
海の酸性化と科学者
人間の活動と海
エピローグ
貝の蒐集について
用語解説
謝辞
訳者あとがき
本文に登場する書籍(原著名)の一覧
参考文献
索引
地図
大西洋
イギリス
イタリア
太平洋
ヘレン・スケールズ[ヘレン スケールズ]
イギリス生まれ。海洋生物学者。
ケンブリッジを拠点に活動している。
学位論文は、巨大な絶滅危惧種の魚をボルネオで探すこと。
カリフォルニアでサメに標識をつけたこともあり、
アンダマン海にある100の島々のまわりでとれる海の生き物のリストをつくるのに1年を費やしたこともある。
BBCラジオにたびたび出演し、サーフィンの科学、サメの頭脳の複雑さなどをテーマに、ドキュメンタリー番組を放送している。
王立地理学会の会員。ケンブリッジ大学で教鞭をとっている。
林 裕美子[ハヤシ ユミコ]
兵庫県生まれ。信州大学理学部生物学科卒業。同大学院理学専攻科修士課程修了。
おもに生命科学分野の英日・日英の技術翻訳を得意とする、HAYASHI英語サポート事務所を運営。
監訳書に『ダム湖の陸水学』(生物研究社)、『水の革命』(築地書館)、訳書に『砂──文明と自然』(築地書館)、『日本の木と伝統木工芸』(海青社)。 大学で学んだ生物学・生態学の知識を生かすために、さまざまな団体に所属して環境保全活動にも携わる。
宮崎野生動物研究会(アカウミガメ保護)、ひむかの砂浜復元ネットワーク(砂浜保全)、てるはの森の会(照葉樹林の保全)、信州ツキノワグマ研究会など。
内容説明
数千年にわたって貝は、宝飾品、貨幣、権力と戦争、食材など、さまざまなことに利用されてきた。人間の命が貝殻と交換され、幻覚を起こす薬物としても使われ、医学や工学の発展のきっかけもつくる。気鋭の海洋生物学者が、古代から現代までの貝と人間とのかかわり、軟体動物の生物史、そして今、海の世界で起こっていることを鮮やかに描き出す。
目次
1 誰が貝殻をつくるのか?
2 貝殻を読み解く―形・模様・巻き
3 貝殻と交易―性と死と宝石
4 貝を食べる
5 貝の故郷・貝殻の家
6 貝の物語を紡ぐ―貝の足糸で織った布
7 アオイガイの飛翔
8 新種の貝を求めて―科学的探検の幕あけ
9 魚を狩る巻貝と新薬開発
10 海の蝶がたてる波紋―気候変動と海の酸性化
著者等紹介
スケールズ,ヘレン[スケールズ,ヘレン] [Scales,Helen]
イギリス生まれ。海洋生物学者。ケンブリッジを拠点に活動している。学位論文は、巨大な絶滅危惧種の魚をボルネオで探すこと。BBCラジオにたびたび出演し、サーフィンの科学、サメの頭脳の複雑さなどをテーマに、ドキュメンタリー番組を放送している。王立地理学会の会員。ケンブリッジ大学で教鞭をとっている
林裕美子[ハヤシユミコ]
兵庫県生まれ。信州大学理学部生物学科卒業。同大学院理学専攻科修士課程修了。おもに生命科学分野の英日・日英の技術翻訳を得意とする、HAYASHI英語サポート事務所を運営。大学で学んだ生物学・生態学の知識を生かすために、さまざまな団体に所属して環境保全活動にも携わる。宮崎野生動物研究会(アカウミガメ保護)、ひむかの砂浜復元ネットワーク(砂浜保全)、てるはの森の会(照葉樹林の保全)、信州ツキノワグマ研究会など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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Koichiro Minematsu
おーすが
723
びっぐすとん
桔梗屋